武術の第9回世界選手権大会は、11日夜、北京五輪センターの体育館で開幕しました。国際武術連盟、中国武術協会の主催で行われた今大会には、89の国や地域から1500人以上の選手、役員が集まりました。これは、参加国・地域数、参加選手数、ともに、過去最多となります。大会は、6日間の日程を終え、17日閉幕しました。武術王国、中国は、18個の金メダルを獲得し、メダルランキングの1位となりました。中国マカオ特別自治区、ベトナム、ロシアが3個ずつ金メダルをとりました。18の国や地域が、40個の金メダルを分け合いました。
太極拳や、太極剣などの演技種目は、体操やシンクロナイズドスイミングのように、動作の難度や滑らかさなどを採点基準に、数人の審判が点数をつけるという形で、順位を決めます。22の演技種目で、中国の獲得したメダルがやはり最多となりました。またインドネシア、ベトナム、ロシア、アメリカなどの選手も優勝しました。そして日本代表も金1個、銀1個、銅2個を獲得しました。
特に太極剣で優勝した下田賢太選手は、ここ2、3年、ずっと日本の国内大会ではチャンピオンとなっていますが、国際大会レベルでは、今回が初優勝です。そして、この金メダルは、日本代表にとって久々の金です。
来年のオリンピックと同時に「2008武術大会」という武術の世界大会が開かれます。結局、オリンピック種目入りはならなかった中国武術ですが、オリンピックと同じ舞台でたつことができるので、今大会で各国の出場枠を獲得するために、各国の有力選手がそろってきました。
試合前、孫ヘッドコーチを取材した時、できるだけ多くの出場枠を取りたいと抱負を語ってましたが、そうの結果について、孫ヘッドコーチは、「6位以内に入らないと、来年の大会には出場できまない。最後の日、男子長拳で市来崎大祐選手が6位を取って、全部で5人、今回エントリーした種目全てで、枠を獲得した。最初の予想としては、3枠くらいは取れるんじゃないかと思っていたが、結局5人取れました。非常に大きなことだと思いう」と語りました。
日本は、金メダルを取った男子太極剣、銀メダルの女子南拳、銅メダルの女子太極拳、男子南拳そして、6位の男子長拳、この5つの種目で出場枠が与えられます。そして来年4月の国内大会で、この5枠を選手達が争うということになります。
また好成績を取ったのは、日本だけではなく、インドネシア、マレーシア、ベトナムなど東南アジア各国も高いレベルの演技をしてくれました。改めて、中国武術が国際化していることがよくわかりました。大会全体の印象について、孫ヘッドコーチは、「今回参加した国は一番多かった。いつもより選手があふれる感じ。武術は、すごく国際的に普及しているかなという感じだった。全体的に見ると、やっぱりアジアのレベルが高い。たとえば、マレーシア、香港、マカオ、ミャンマー、またベトナム結構皆レベルが高い」と話しました。
武術の国際化の理由としては、孫ヘッドコーチのように中国人コーチが各国で指導していることと密接な関係があるといえます。こうやって、国際的なスポーツとして、普及していくことで、オリンピックの正式種目入りも可能になります。
日本の柔道、朝鮮半島のテコンドーと違って、武術がオリンピック種目に入る道のりはまだまだ遠いです。でも、来年は、まずはその第一歩として、オリンピック期間中の大会開催が実現しました。正式種目ではないけど、試合に取りくむ気持ちは、オリンピック選手と変わらないということが、今大会の会場の雰囲気から感じとれました。孫建明ヘッドコーチは、「来年は、世界で勝つことがもっと難しくなる。でもやはり今年の世界選手権を反省して、もう一年もないんですが、練習を重ねて、今回のようにメダル獲得を目指したいと考えている」と、来年へ向けた抱負を伺いました。
来年の北京オリンピックの時、ぜひ、各国の演武者のすばらしいパフォーマンスを鑑賞してください。
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