北京五輪に向けたテスト運用を兼ねたカヌーの中国オープンが16日から19日にかけて、"本番"の会場となる順義水上公園で行われました。
「カヌー」とは、丸木舟をはじめ、木などの骨格に獣皮や樹皮を張ったスキンボート、さらには外洋航海に使われた大型ボートに至るまで、「手持ちのパドル(櫂)」によって操作する船のことです。カヌーが競技になったのは1966年、イギリスのテムズ川でのレースが初めてでした。第1回の世界選手権は1930年、1936年第11回ベルリン大会から五輪競技になっています。大会では、カヤックとカナディアン2種目からなります。
カヌーという競技は自然相手のスポーツなので、コースになれるのは、重要なことです。したがって、規模がさほど大きい今大会でも、来年の視察を兼ねて、多くの有力選手が集まってきました。シドニーとアテネ五輪のメダリストも8人参加し、男子カヤックシングルスと男子カナディアンシングルスにおいて、世界ランクトップ10の選手のうち、8人が集結しています。
ここでの試合を通じて、多くの選手やコーチが会場について「水流が激しく、水の流量が多く、波が高い」という感想を語っていました。選手が激流でぶつかったり、転倒してしまったりというシーンもレース中、何度か見られました。アテネ五輪の金メダリストでさえ、レース中、力の入りすぎで、オールを壊してしまったということもおきました。国際カヌー連盟のフェルドオフ主席は、「ここでのレースは非常に難しいものだった。水位の落差が大きく、非常に高い技術が要求されている。トップの選手しか、ここで成功を収めることはできない。偶然の結果はありえない…本当に強い選手が勝つ…そんな競技場だと思う」とコースについて語りました。
まだ若い中国人選手たちは、この難しいコースで、技術や経験不足を露呈する結果となりました。ただ、中国にとって、うれしい結果もありました。女子カヤックシングルスに出場した3人の中国人選手が、すべて2次ラウンドに進出し、そのうち、李晶晶が銅メダルを獲得したのです。これは、この種目で、中国がとった最高成績となりました。また男子カナディアンペアで、中国勢2組が2次ラウンドに入りました。
今回のオープン戦での中国のレースぶりについて、中国選手団の李欣団長は、「私たちは、男子カナディアンペアと女子カヤックシングルスを重点的に練習してきた。今回の大会で、成功したこともあれば、失敗したことも多くある。男子カナディアンペアでは、メダルを取る力を十分持っていたのだが、選手が、まだ若く経験不足で、試合中、緊張してミスをしてしまった。ただ、そんな中で李晶晶は、うまく試合を進めることができ、銅メダルを獲得した。それでも、コース選択でちょっとしたミスをした。もし、それをうまくやっていれば、金メダルをとれたかもしれない」と語りました。そして、今大会で出てきた心理面での課題、コースの選択、体力不足などをこれからの練習で強化していきたいと、五輪までの重点を挙げました。
中国のカヌー代表は、オリンピックのために、カヌー強国であるドイツから招いた二人のコーチを始め、中国の優秀なコーチや専門的なトレーナーをそろえています。彼らの支えで、中国のカヌーチームは、来年の五輪で好成績を挙げるため、日夜トレーニングに励んでいます。
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