実はゴルフは、日本の皆さんには非常に身近なスポーツかもしれませんが、一般的な中国人にとっては、まだまだ縁遠いスポーツです。しかし、ここ数年、中国では、アマチュアのゴルファーが増えつつあり、プロを目指して練習を重ねる人たちも多くなっています。
4月の上海は、もうすでに春本番のぽかぽか陽気となりました。この絶好の季節に、ゴルフの2007年ボルボ中国オープンが開かれました。試合は4日間続き、結局、オーストリアのブリエル選手がチャンピオンを獲得しました。
この大会で、実は、今回エントリーした75人の選手のうち、初めて7人の中国人の名前が見られました。いわばゴルフ後進国である中国から、地元開催とはいえ7人がエントリーというのは、非常に画期的なことというわけです。
ゴルフが、ほとんど一般的に普及していない中国ですから。一度に7人の選手が世界的な大会に名前を連ねたことは、中国ゴルフ界の変化を感じずにはいられません。まずはその画期的な大会となったボルボ中国オープンなんですが、この大会は、中国ゴルフ協会が主催するもので、ヨーロッパ男子ツアーの一つとなっている世界的なゴルフ大会です。ヨーロッパツアーとアジアンツアーの共同開催で行われることでも知られ、今年で13年目。今年は今月12日(木)から4月15日(日)までの4日間、中国の上海シルポートゴルフクラブで開催されました。今大会には、日本でもお馴染みのデンマークのトーマス・ビヨーン、2005年の第1回大会で初代チャンピオンに輝いたステファン・ドッド(ウェールズ)など欧州の強豪が参戦。ゴルフファンにとってはたまらない大会となりました。
今大会の目玉の一つとして、中国大陸や台湾から7人の選手が公式戦に出場したことが上げられます。また、この7人のうち、4人がユース年代で、中国大陸からの15歳の葉剣峰、17歳の韓靱、台湾からは兄弟で出場の15歳のハン・正宗と19歳のハン・福強です。このユース年代の4人はみなプロではなく、アマチュア選手なんですが、予選で並み居るプロ選手を破って、本大会に入りました。
これについて、アジアツアーのキ・ラハン総裁も「今回の本大会にこれだけ多くの中国人選手が現れたことは、すごいことだ」と絶賛しました。また、中国大陸のトップ選手である張連偉プロも今大会に出場しました。彼は若い選手たちの戦いぶりについて、こう語りました。
「若い選手、特にユース年代の選手が次々に出てくることは、中国のゴルフ界にとって、非常に良いことです。これまでのボルボ中国オープンに、あるいはそのほかの大会でも、7人もの中国人選手が共に本選出場を果たしたことなど一度もありませんでした。今回は中国ゴルフ界の発展に向け、第一歩を踏み出した大会といえるでしょう。」
今回の中国オープンは、海外でも話題になっているようです。大会期間中、ヨーロッパツアーのオグレディ総裁に、今回の中国人選手の増加について、見解を伺いました。
「歴史的に見れば、中国では、ゴルフの発展が立ち遅れていますが、ただ個々を見ていけば、中国には優れた選手は大勢います。アジアでは、比較的ゴルフの歴史が長いインドや韓国などの選手と比べても、その実力はあまり変わらないというのが印象です。今後は、中国の選手にもできるだけ積極的に、多くの国際大会に出場してほしいと願っています。国際大会に出場するのは、レベルアップのための最適な手段なのです。」
この若い選手たちの活躍ぶりは、中国では、ゴルフに対する期待感を高めています。ゴルフの魅力はプロ選手の間だけではなく、より多くの一般的な人々まで広がっています。中国のゴルフ第一人者である張連偉さんに中国ゴルフの今後についてうかがいました。
「中国の選手たちは、ゆっくりと、でも確実に進歩しています。今後は、ユース年代の選手を効果的に育成するシステムを作り上げ、より多くの若い人たちにゴルフを学んでもらえるようにしていくべきです。また何より大切なのは、ゴルフ界の裾野を広げていくことです。トップレベルだけではなく、一般の人たちがゴルフを気軽に楽しめるような環境を作ること。それが実現すれば、ゴルフは今後、中国でかなりのスピードで広がっていくだろうと思いますし、それによって、優秀な選手たちが生まれてくるでしょう。」
若いゴルフ選手の出現で、ようやく中国ゴルフ界にも春がきた、というわけです。いつか世界的なゴルフ大会で中国人が上位進出、できれば優勝・・なんて日がやってくればと願っています。(文章:王丹丹 04/23)
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