2002年の第19回冬季五輪の誘致に動いたのは、欧米の8都市。投票でソルトレーク(アメリカ)の主催が決まった。しかし、その後、ソルトレーク五輪誘致委員会がIOC・国際五輪組織委員会に委員を賄賂を贈ったことが発覚し、世の中を騒がせた。結局、数人の委員が辞職あるいは更迭され、ようやく事件は収束した。
聖火リレーは2ヶ月間にわたって行なわれ、開幕式では、1980年ストックホルム大会の金メダリストが最終ランナーとして聖火台に火を点した。米ブッシュ(前)大統領が開幕を宣言した。
77の国や地域から2399人(女子886人、男子1513人)が出場。 報道面では8730人の記者(新聞・雑誌記者が2661人、放送記者が6069人)が携わり、また、2万2千人のボランティアが大会運営を支えた。
史上最多の18選手団が金メダルを獲得し、ウィンタースポーツの裾野の広がりを感じさせる大会となった。中国が冬季五輪の初めての金メダルを取ったのもこの大会である。中国は今大会72人の選手が出場。ショートトラック女子500mと1000mで、楊揚選手が優勝し、中国に冬季五輪初めての金メダルをもたらした。楊揚は続く3000mリレーで銀を獲り、一躍、ヒロインとなった。また、フィギュアスケートでは、申雪・趙宏博組が、これまで欧米勢が独占していたフィギュアスケートペアで銅メダルを獲得した。またエストニアとクロアチアも史上初めてのメダルを獲得した。
今大会では、冬季大会史上、「最もラッキーな人」が生まれた。スピードスケート・ショートトラックのスティーブン・ブラッドベリ氏である。これまで冬季五輪には2回連続で出場していたが、最高成績が8位。すでに選手としてはピークを過ぎた彼は、3回目の出場となった今回、メダルを狙うつもりは毛頭なかった。だが1000mのレースで、彼は他選手のミスと失格により、準々決勝、準決勝を勝ち上がり、見事、決勝進出を果たした。だが、実力差は明らかで、スタートから遅れ、最終コーナーを回った時点で、半周分の差をつけられ、5位。だがここで奇跡が起きた。前を滑っていた4人が何かの弾みで倒れ、4人一緒にコースの外に投げ出されてしまったのである。ブラッドベリ選手は唯一、フィニッシュラインを通過し、金メダルを獲得した。まさに「棚からぼた餅」、「史上最もラッキーな」金メダリストとなったのである。
(翻訳:李軼豪)
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