もう一人、ガードの苗立傑はこう語っていました。「これまでは、勝つときは大差で勝ち、負けるときは大差で負けていた。今回のような接戦は初めてだった。世界選手権に3度出場したが、こんな窒息しそうなくらい白熱した試合は初めて体験した」ということです。
彼女のコメントからも分かるのですが、これまで中国は、強いプレッシャーの中で試合をしてきた経験がないと・・。今回のように、試合の最後の一秒までに勝てるかどうかがわからない、こういう試合をいくつか経験できたというのは、2008を狙う中国代表にとっては、この上ない収穫といえそうです。そのあたり、中国バスケットボール協会の李元偉副会長に聞きました。
「いまの中国代表は今大会の4位から9位までのチームなら、どことでも勝負できる力を持っていると思います。これが分かったことが何よりも大きな収穫です。特に守備は良かったです。また攻撃もチーム全体で攻めることが出来るようになりました。あと何よりも感動したのは、彼女達の勝利への執念、ファイティングスピリットでした。リードされていても最後の一秒まで戦う・・この気持ちこそが、将来への希望をつなぐものだと思います」
試合は負けることはありますが、戦う精神で負けてほしくはないです。サッカーの中国代表にもこの精神を持ってほしいものです。ところで、女子バスケ中国代表のオーストラリア人監督のマハ氏にもお話を伺っています。
「一試合ごとに、チームがうまくなっていく様子が、はっきりと見て取れました。例えば、フランスとの対戦、15点差以上で勝たねばならないという状況のもとで、彼女たちは国内リーグで体験したことのない強いプレッシャーがかかったわけですが、それに耐えて、とにかく勝ちました。また、試合中、リズムをコントロールすることや、相手の作戦を効果的に抑える技術などもつかみました。私は彼女たちを祝福したいですね。過去6ヶ月の努力にだけではなく、わずか、この一週間のうちに、彼女たちが見せた予想外の成長に・・です。」
マハ監督はさらに、「負けたのも大切な経験だ。強豪チームと勝負できるまで代価を払うのはあたりまえのことで、よい勉強ができた。将来にきっとプラスとなる」と話しています。
一方、今回世界選手権を通して、中国代表はいくつかの問題を発見しました。身体能力の差はもちろんですが、ボール回しや、移動とシュートのタイミング遅れなどです。またポジションによって、人材不足も目立っていました。
ただ、やっぱり今の中国代表に足りないのは、いろんな過酷な状況下、プレッシャーのかかる場面を体験すること、つまり経験なんでしょう。そういう意味では、今大会は大切な経験を積みましたし、オリンピックまではあと2年ありますから、それまで、かく戦う・・という方針が見つかった、非常に貴重な機会だったんじゃないでしょうか。そのあたり、中国バスケットボール協会の李元偉副会長に聞きました。
「今大会は、結果だけからみると、とても残念でした。でも、チーム全体は大いに鍛え上げられたと思います。私たちの目標はあくまでも2008年オリンピックです。今回の世界選手権はそのための大きな試金石になりました。」
2008年オリンピックの前に、世界的な大会がもう一つあります。年末にカタールのドーハで開かれるアジア大会です。こちらは勝って当たり前というプレッシャーのかかる大会ですから、そこでしっかりと足場を固めて、2008を目指すということになりそうですね。(文章:王丹丹 09/26) 1 2
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