1924年、現代五輪が始まって30年という記念すべき年を迎えた。この間、オリンピックを始めとする世界のスポーツが飛躍的な発展を遂げた。この記念すべき年を祝うため、「現代五輪の父」として知られ、そしてまもなくIOC・国際五輪組織委員会の会長を勇退するグーベルタンのオリンピックに対する貢献に敬意を表し、第8回五輪は彼の母国、パリに決定。これでパリは、史上初めて2回目の五輪を開催した都市となった。

　1900年第一回パリ大会のとき、フランス国民はオリンピックにほとんど興味を示さず、「冷遇」した。だが、今回は違った。前回と打って変わって、フランス国民は熱烈な歓迎を示したのである。

　参加国が44に増えて、オリンピックの世界規模での普及を印象付けた。アイランド、ポーランド、ルーマニア、フィリピン、メキシコ、ウルグアイ、エクアドルなどが初めて選手を派遣した。出場選手3092人（女子選手136人)の内、最も多いのはフランスで319人。ついで、アメリカが291人。次いでイギリスが247人だった。17競技の126種目。

　陸上競技が行われた7月6日から13日はちょうどパリの最も暑い真夏の時期。だが14種目で五輪記録が更新され、そのうちの8種目で世界記録が誕生した。

　そのうちフィンランドの長距離選手パウォ・ヌミが5個の金メダルを獲得し、今大会最多。

　水泳でも、多くのヒーローが登場した。とりわけアメリカのジョニー・ワイズミューラー選手が、100ｍ自由形、400ｍ自由形、4×200ｍリレーの3つの金メダルを獲得。中でも100ｍ自由形では59秒の記録を出し、当時初めて１分を切った選手として大きな注目を浴びた。以後10年間、この記録は破られることがなかった。

　ワイズミューラーが水泳選手になるきっかけは偶然だった。病気にかかりやすかった彼は医師のアドバイスで水泳を始めた。誰もが予想しなかったことだが、ここから彼の輝かしい水泳人生が始まる。またその後、映画監督のスカウトを受け、ハリウッド入りし、映画『ターザン』の主役を演じるなど異才を放った。

　この大会にははじめて中国人が3人、テニスに出場した。オーストラリアでデビスカップ(国･地域別対抗戦)に出場した後、"無断"で五輪に向かったそうだが、まぎれもなく中国人の五輪出場だった。

　今大会では、初めて「より早く、より高く、より強く」という五輪スローガンを採用。また閉幕式で、初めて旗の掲揚式を行った。ＩＯＣ・五輪組織委員会の旗、今回開催国の国旗、次回主催国の国旗が同時に掲揚された。