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6月下旬、中国・長江流域の南の地方は徐々に梅雨の季節に入っていきます。しとしとと降り続く長雨の中、家でゆっくりと懐かしい音楽やお茶のいい香りを楽しみながら考えをめぐらせる時間は、梅雨の時期ならではの贅沢な体験と言えるでしょう。今回の中国メロディーは梅雨の物語と音楽をご紹介しましょう。
雨の趣
初夏の長江中流下流、上海、蘇州、杭州などの地域では雨の日が多くなり、梅の実が熟す頃であることから「梅」に「雨」と書いて梅雨と称されています。この時期、しとしと雨が降っている日の家の軒先や小川、苔が生えている石橋などは美しい水郷の風景です。
では、次のある雨の日の様子を想像してみてください。
傘を差した女性が雨の小道をしなやかに歩き、彼女の美しい髪は雨にしっとりと濡れ、眼差しは哀愁を帯びている・・・
こんな雨の日の一場面は、美しい詩句のように人をうっとりさせる雰囲気を醸し出していることでしょう。
雨の中で君を待つ
雨の夜は、軒下から雨音がぽつぽつと聞こえ、穏やかな時間が流れます。部屋では柔らかい明かりの中、音楽を聞いたり、お茶の香りを楽しみながら仲間たちと歓談します。談笑の言葉は、外で降り続く美しい雨粒のように部屋の中を満たします。
余光中の詩「等你,在雨中(雨の中で君を待つ)」は、この季節の雨だからこそ感じる趣を味わうことができるでしょう。
君を待つ 雨の中で 虹を掛ける雨の中で
蝉の声が沈み 蛙の声は高らかになり
池の中の赤い蓮の花は雨の中、炎のよう
君が来ても来なくても同じだろう
あの赤い蓮の花は君と似ている
この日暮れどき 霧雨の中
君を待つ 時間を越えて君を待つ
江南ラブストーリー
1990年代の映画「梅雨季節(梅雨の季節)」は、梅雨の江南水郷を舞台にしたラブストーリーです。
女子大学生・宋盈盈と天文学専攻の若手教師・陶石の恋は知らず知らずのうちに生まれていました。盈盈は内気な陶石先生のロマンチックな心の世界に惹かれ、一方、陶石先生も盈盈の誠実さに惹かれていきました。しかし、時が経つにつれて、内気な陶石先生は自分の盈盈への思いに正直になることができませんでした。最後に盈盈が地方実習に行く際、陶石先生にかけた無言電話を掛け、気持ちを確かめることにしました。陶石先生は真っ先に盈盈の名を呼び、二人の心が繋がっていることを確認できたのです。
番組の中でお送りした曲
1曲目~「夢江南(夢の中の江南)」
草青青 水蓝蓝 草は青々として 水は真っ青
啊 白云深处是故乡 白い雲の向こうに故郷がある
故乡在江南 故郷は江南水郷
雨茫茫 桥弯弯 雨は果てしなく一面に広がり 橋は曲がりくねっている
啊 白帆片片是梦乡 ああ、多くの船の帆に夢がある
梦乡在江南 夢は江南水郷に
2曲目~「等你、在雨中(雨の中で君を待つ)」
歌は余光中の愛の詩「等你,在雨中(雨の中で君を待つ)」をモチーフにして作られもので、詩人が黄昏時、想い人を待つ気持ちを表しました。
3曲目~「梅雨季節(梅雨の季節)」
映画の中で奏でたサックスの曲は、ストーリーを進めるうえで欠かせない音楽です。この曲は二人の出会い、愛の種の芽生えを象徴しています。
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