13日付の毎日新聞によると、広島市立二葉中学校の夜間学級3年の中国残留日本人孤児、川添瑞江さん(68才)が12日、同校を卒業し、54年遅れの卒業証書を受け取ったという。言葉の問題で周囲と意思疎通が取れずに悩む同孤児が多い中、「日本語が分かると楽しくなる」と話す川添さん。春からは夜間高校進学を目指し、「もっと勉強したい」と意欲を見せている。
川添さんは、1938年3月、中国・吉林省で生まれた。母は45年の終戦後間もなく死亡。父も同12月、友人が連れてきた中国人養父に川添さんを預けた4日後、息を引き取った。
養父は結婚せずに男手一つで育ててくれた。日本に帰国したのは92年7月。04年4月、「昔できなかった勉強をしたい」と、知人の紹介で広島市立二葉中学校の夜間学級に入学した。1~3年のさまざま年齢の級友がおり、川添さんは最高齢。最年少は18歳だ。27人の生徒のうち、卒業生は川添さんを含む14人。この日の卒業式で、川添さんは卒業生を代表して、「私たちの人生にはさまざまな困難があります。これからの生きていく道はまだまだ長く曲がり角も多いことでしょう。努力してもっと学び歩み続けます」と答辞を述べた。式後、川添さんは「養父に育ててもらい、卒業することができた。いつも、養父のことは忘れたことはありません。感謝しています」と笑顔で語った。
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