中国と日本の交流が盛んになるにつれ、お互いの国へ学びに行く留学生も増えています。現在、中国の各大学では、日本人留学生の姿が見られるようになっています。松尾淳一郎さんはその一人です。
松尾さんは早稲田大学から1年間派遣されて、現在、北京大学の対外漢語学院で中国語を勉強しています。去年の9月に北京に来て、今年の7月まで滞在する予定だそうです。早稲田大学の文学部で表現芸術を専攻していますが、就職に有利だと思い第二外国語として中国語を選択しました。そして、その中国語をさらに磨くため、3年生になったと同時に中国への留学を決めました。
中国での留学生活を始めてから、松尾さんは多くの中国人に出会い、友達になりました。中国人に対する印象について、松尾さんは「中国人は、明るくて、開放的ですね。日本人と完全に違って、主張すべきところをずばずばと述べます。中国人のそういうところが、僕は大好きです」と語りました。「主張しない文化」と「主張する文化」、これは中日両国の大きな違いです。松尾さんは、このような違いを日々体験しながら生活を楽しんでいるとのことです。
オリンピックを控え、現在北京は日々めまぐるしく変化しています。北京の印象について松尾さんは、「北京が好きです。もちろん、環境や渋滞などの問題がありますが。北京は、すごく刺激にあふれている町です。時が動いていく、ゴーゴーという音が聞こえるような感じです。毎日、思いも寄らないことがよく起こります。すごく充実していて、脳が処理しきれないぐらいいろんな刺激を受けています」と述べました。
大阪で育ち、人を喜ばせることが大好きな松尾さんは、エンターテイメントに関係する仕事に就きたいそうです。実際に、早稲田大学では映画サークルに所属し、自分で映画を作ったり、自ら役者を務めたりすることもあるそうです。そんな松尾さんのなかに、ある大きな夢が生まれ始めています。「僕の夢は、アジア合作映画に出演することです。監督が中国人で、俳優は中国人・日本人・韓国人・タイ人とか・・・。アジア合作の映画を作りたい。ぜひアジアに目を向けてもらって、アジアの現状を見てもらいたいです。アジア発の文化発信をしていきたいなあという夢があります」
松尾さんの留学生活はあと半年足らずとなりましたが、ドラマのエキストラに挑戦するなど、北京にいるあいだにいろいろなことを経験して帰国したいとおっしゃっていました。
また、中国と日本の関係についても、松尾さんは考えを持つようになっています。「日本にいるときに、反日感情があるとか、歴史問題があるとか聞いていた。気持ちとしては複雑だった。隣の大国だし、パートナーシップを保ちながら、良きライバル・良き理解者であれば、もっとアジアを盛り上げていけるのに、政治の問題で足を引っ張ってしまったところがあって、すごく残念だ。せっかく中国語を勉強したので、ぜひ将来それを生かして、日中関係の発展に力を注いでいきたいです」
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