11日午後4時首相官邸前で抗議した人たち
小泉首相は8月15日に靖国神社に参拝するだろうと言われています。
アジア侵略戦争を企て指導したA級戦犯を「英霊」として顕彰する神社に首相が参拝するのは、侵略戦争の反省に立った憲法の平和理念と政教分離原則に違反するのみならず、戦後の国際・国内合意(サンフランシスコ講和条約、日中共同声明、戦後五十年国会決議等)をことごとく踏みにじるものです。
首相は「参拝するかどうかは個人の自由」と言います。しかし日銀総裁がファンド・マネーや株をやるのが「個人の自由」でないのと同様、政権の長が靖国神社に参拝するのは憲法の政教分離原則を侵害し、侵略・植民地支配の被害に遭ったアジアの人々を決定的に怒らせる行為であって、個人の自由の問題ではありません。
現に、小泉首相が就任以来繰り返してきた靖国神社参拝によって、中国、韓国との間に外交断絶状態が引き起こされ、最近は米政府や日本の経済界からも批判の声が上がっています。
靖国神社には深い闇があります。戦前靖国神社は、天皇が祭主となって戦争の悲惨な状態を覆い隠し、戦死者を顕彰して遺族の悲しみを喜びに転化させる闇の祭儀の場でした。陸・海軍省管轄の軍事施設であり、民衆を戦場に駆り立てる精神的支柱だったのです。
戦後は一宗教法人となりましたが、A級戦犯の合祀・顕彰や遊就館の展示に明らかなように、今も英霊顕彰・侵略美化の施設であり続けています。私たちは靖国神社に体現される誤った歴史認識と、そこへの国民扇動を許すわけには行きません。
11日夜8時東京弁護士会館前から出発したデモ参加者
靖国神社は戦後も、国から違法に流された戦没者名簿を元に、遺族の許可も得ずに戦没者を合祀しつづけました。日本の侵略戦争に駆り出されて死んだ28,000名台湾人、22,000名の韓国・朝鮮人を含め、多数の戦没者が合祀されています。台湾・韓国の遺族から、いま切実な合祀取り下げ要求が出されていますが、靖国神社は要求に応じようとしません。遺族の意思を無視した人権蹂躙が許されるのでしょうか?これは思想・信条・信仰の自由に対する侵害、人の自己決定権に対する重大な侵害とは言えないでしょうか?
そうした靖国神社に首相が参拝するのは、「侵略肯定のメッセージを世界に発する」ことであり、東アジア諸国との和解と友好を決定的に阻害します。それは又、「靖国神社に祀られることを喜ぶ方向に国民を扇動」し、「平和を否定し戦争への備えをする」行為に他なりません。
私たち東京に集まった広範な東アジア市民(日本、沖縄、台湾、韓国)は、未来に向かって平和な日本、平和なアジアを作り出していくために、首相の靖国神社参拝に強く反対します。
2006年8月11日
平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動実行委員会
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