莫言さんの作品は日本文学から大きな影響を受けているという説がありますが、これについて莫言さんは「1980年ごろから、日本の文学が、中国にも大量に入ってきました。私の世代は、日本の文学に触れる機会が非常に多かった。川端康成、谷崎潤一郎、三島由紀夫、井上靖など、みんなすばらしい作家ですね。私は、日本の作家から大きな影響を受けました。例えば、川端康成の『雪国』という作品には、大きな黒い犬が出てきますよね。あの作品を読んでいるとき、その犬があたかも目の前にいるかのような感覚がありました。すごく印象深かったです。そのとき受けた印象は、私の『白い犬とブランコ』などの作品に活かされています。川端康成をはじめ、日本の作家の作品は、日常生活を、繊細な感覚で描いているように思います。こうした部分は、私も見習いたいものです」と述べました。
ところで莫言さんは、日本文学に詳しいだけでなく、たびたび日本を訪れ、多くの日本人と触れ合ってきました。最近だと、日本在住の中国人作家・毛丹青さんらと北海道を旅し、今年のはじめ中国で「莫言北海道走筆」を発表しています。 莫言さんは、作家でありながら、中日交流の担い手でもあるというわけです。莫言さんは「私は何度か日本へ行き、日本の高官や、作家の友人達と交流してきました。普通の民家に泊まったこともあります。いつも、両国の心は通じ合っているなあと感じます。中国人と日本人の友情は、そう簡単に言い表せるものではありません。文化面における両国関係の緊密さは、誰も否定できないでしょう。それは、岩石のように巨大で、海のように広いものなのです。」と述べました。
第17回福岡アジア文化賞の関連情報:
莫言さんが大賞を受賞した、第17回福岡アジア文化賞ですが、授賞式は9月14日に行われる予定です。また、16日・17日には、福岡市内で関連イベントが行われるということです。17日には莫言さんの講演会もあります。午後1時から3時まで、会場は、アクロス福岡イベントホールです。講演会のテーマは、『未来へのメッセージ~越境の文学世界から』となっています。 1 2 3
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