莫言さんは、1955年生まれ。1981年から、多くの作品を発表し続けています。映画化されている作品もあります。例えば、チャン・イーモウ監督の『赤いコーリャン(原題:赤い高粱一族)』や『至福のとき(幸福時光)』、日本の俳優・香川照之さんが出演して話題となった『故郷の香り(暖)』などです。
莫言文学には、映画にありがちな夢物語は一切出てきません。中国社会の描き方もなんだかリアルで、登場人物の感情も非常に生々しく感じます。彼の作品には、中国の独特な文化がちりばめられているんですね。
アジア文化賞について、莫言さんは次のようにコメントしています。「この文化賞は、非常に将来性があると思います。経済がグローバル化するにつれて、文化もまたグローバル化しています。こうした情況の下でも、各地の独特な文化が輝きつづけるのは、非常に素晴しいことだと思います。もし世界の文化が統一されてしまえば、非常に単調で、暗い世の中になってしまうでしょうから」
各地の独特な文化という言葉が出てきましたが、こうした文化の多様性を保護することも、アジア文化賞の狙いのひとつです。莫言さんはまさに、文学を通して、中国独特の文化を世界に広く伝えてきました。その功績が、今回の大賞受賞につながったと言えます。
特に莫言さんの小説は、中国人の考え方や、社会のようすがつぶさに描かれていますから、中国に興味のある方にとっては必読かもしれません。
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