合気道とは、日本の古流柔術の一派です。主に、関節の弱点を利用した押さえ技や投げ技を特色としています。
近年、実は中国で、合気道の愛好者が増えています。そして北京をはじめ、全国各地に道場ができています。
そのうち、毎週末、北京大学の体育館で、合気道の稽古をしている団体があります。
参加者はほとんどが中国人で、大学生が主ですが、仕事帰りのサラリーマンも多いです。合気道を始めた動機はさまざまで、空手、柔道などと同じく、長い歴史を持つこの日本の伝統ある武術に興味を持ったため、また日ごろ運動不足解消のため、体力増進のため、などなど、それぞれの目的を持って合気道に取り組んでいます。
「合気道は、中国の武術のように動きが激しい運動より、女性にとっても練習しやすいです。普段、毎日会社で働いて、ほとんどがデスクワークですので、体力が低下していますからね。合気道は、体を鍛えるのに非常にいい運動だと思います。」(張迎春・会社員)
「合気道は、中国の太極拳に似ていて、強さじゃなくて、その動作の柔軟さ、つまり、相手の力を借りて押さえてやる、というのが特徴ですね。中国の武術より、練習しやすいから、一般に普及しやすいと思いますが…」(郭震宇・大学生)
「合気道は、いつも二人で練習しなければならないですね。また、稽古のなかに、途中、練習相手を変えることもあって…常に練習相手と手で交流しながら稽古をやる、というのは、なかなか面白いですね。そして、体の運動ばかりでなく、心の修行にもなりますよね。いつも相手に礼をしてから稽古するから…」(鄭雲・指導員)
この道場の指導者は日本人の堀江昇さんです。
4年の中国留学の経験を持つ堀江さんは、毎回の稽古で、中国語で合気道の技を説明しています。中国人に対して、しかも中国語で指導することによって、堀江さんには、合気道に対して、新たな思いを持ったといいます。
「合気道の開祖は昔、合気道で世界が手を結ぶようになればいいというふうにおっしゃったのです。実際、私日本人が北京で合気道をやって、まず中国人と日本人が手を結べるようになりました。そして、ここで合気道をやっていることで、ロシア人、フランス人などヨーロッパの方も、タイ、シンガポールの人もいらしていますので…お互いに言葉が通じないかもしれないけれど、手を取り合って、いっしょに同じ運動で通じ合えるということを、いま、北京で感じられるのが嬉しいです。」(堀江昇・合気道同好会指導者)
道場には大多数の中国人に加えて、大勢の外国人が訪れます。彼らが互いに日本式の"礼"を交し合い、手を組み合って、技をかけあう・・日本の伝統武術である合気道を通じて、彼らは日本文化の良さ、素晴らしさを実感しているに違いありません。中日交流はそんな互いの文化に対する理解から始まるのではないでしょうか。
付:北京大学での稽古は、毎週の火、土、日の夜7時から8時30分まで、五四運動中心にて行われています。興味のある方は覗いてみてはいかがでしょうか。
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