こうして北京放送のマイタを通して皆様とお話しするのは実に25年ぶりのことで、本当に感無量です。25年前までは私も北京放送局日本向け放送スタッフの一員として、およそ23年間、主に文芸・文化番組を担当し、小説・映画・演劇・文芸便りの編集翻訳、また自分で取材したものを記者のマイタレポートとして自ら放送もいたしました。当時、皆様から激励のお手紙を沢山戴いた時の感動は、未だに忘れることができません。
この北京時代の最高の思い出は、中日海底ケーブル敷設交渉の際、中国側の通訳について。周恩来総理に握手していただいたこと、都小平氏会見の際通訳を務めたことです。
その後、母の病気がさつかけでまた日本で暮らすようになり、大学教授として中国語と中国現代文学を講義する傍ら、文化面の相互理解に多少とも尽くしたいとの思いから。中国現代小説の名作を、僅かですが主に中央公論社 (現中央公論新枕)から出版いだしました。 『人、中年に到るや』 『白鹿原』 『応報』 『文豪老舎の生涯』などがございますが、……中国現代の小説は。実社会をよく反映しておりますので。中国の人と社会の理解には恰好の資料になると思います。ぜび読んで頂だければ幸いです。
因みに申し上げますと、中国の純文学の翻訳出版は、労多くして経済的には報われない、むしろマイナスとなる仕事です。わたくしの他に日本の方々も、熱心にごの仕事をしてくださっていますが、内情を知るだけにわたぐしはこうした方なに、心から感謝し敬服しております。経済的リスクは、出版社にとっても例外ではありません。その意味で、中央公論社の今は亡き嶋中鵬二会長様には、一方ならぬご高配を頂き、中国現代文学の名作中の名作を出版して頂きました。ここに深い感謝をこめて皆様にもお伝え致します。
|