直後の1997年の7月1日、香港返還がありました。香港返還後の?国二制度という図式というのは西側諸国はなかなか理解できないようで、それについても、マスコミで日本人研究者や外部のアメリカ人などと色々討論を交わしたものです。ネイションステイト(nation state)という近代西側国家の概念から、ひとつの国にはひとつの制度しかありえないという考え方を持つ人々には、香港は中国に戻るけれども香港資本主義はそのまま継続される、しかも50年間は変わらないというような節小平さんが提案した?国二制度という解決方法は不可思議なものだったのでしょう。
中国を弁護するとかそういうつもりは特にありません。中国社会の中にも多くの問題が存在していて、これからも中国が一直線で発展するとは私自身思っていません。しかし、日本人や中国以外の社会の人選よりは、中国の中の色々な問題を私は知っており、逆らえない中国の改革開放の流れ、大多数の国民の考えを抽出できると思っています。
日本人は研究熱心で堅実なので、中国の個々のデ?タはついては中国国内のデータ研究よりも堅実にやっているものがあるかと思います。しかし、日本の中国研究というのは大体いくつかの事実やデータの積み重ねで結論に持って行くというものであるため、データ次第では誤った結論にたどり着いてしまう可能性があるのです。折悪しくも、中国は国家規模が巨大であるため、例えば、中国は絶対に超大国になると結論づけようと、中国は崩壊すると結論づけようと、それを裏付けるヂ?タや動向は必ず発見できるでしょう。もし中国についての研究がこのように、それぞれ、偏ったいくつかのデータに基づいて結論を急ごうとすれば、結局中国の全体像の把握に繋がらないのではとの危機感を強く覚えています。だから、自分が日本の雑誌や新聞に寄稿したり、テレビなどに出たりして中国のことを紹介するときには、特に中国の大きな流れをどう見るべきか。今の変わり続ける中国と長期的なスパンでどうやって付き合って行くべきかということを強調して説明しています。
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