北京では、日中の最高気温が25度を超えるようになり、春の陽気が続いています。この季節は、家族や友人と郊外へ遊びに行く人も多いようです。北京市内の喧騒を離れて、静かな場所で穏やかな時間を過ごしたい方は、北京郊外の古刹「大覚寺」へ出かけてみてはいかがでしょうか。
長い歴史を持つ北京には、多くの寺院があります。大覚寺はその一つで、1068年、遼の時代に建てられた古い寺院です。北京市中心部から北西の方向へ、車でおよそ1時間。清の西太后も愛した庭園「頤和園」の先に位置します。
寺院の敷地面積はおよそ6000平方メートル。敷地内には泉があり、清らかな水が湧き出ることでも有名で、別名「清水院」とも呼ばれています。また境内には、遼の時代の石碑や明の時代の建造物などが随所に見られ、その歴史を感じることができます。
大覚寺の門は、東の方角に向かって開かれています。背後には、美しい山がそびえます。この位置関係は、中国古来の「風水」の考え方を取り入れたものだそうです。
悠久の歴史を持つ大覚寺は、樹齢300年の玉蘭(ハクモクレン)の木があることで有名です。毎年春になると、美しい玉蘭の花が咲き誇ります。大覚寺の玉蘭は「北京一」と言われるほど有名です。
大覚寺の玉蘭は清の時代の後期、ある住職が南の江西省から持ってきたものだそうです。つまり、この玉蘭はもともと北京に生えていたものではなく、南方地方由来の植物なのです。多くの詩人たちがここを訪れ、玉蘭の花を詩に詠んでいます。
大覚寺でもうひとつ有名なのが茶館です。敷地内に建てられた「明恵茶館」は1997年から営業を開始しました。大覚寺の泉から湧き出た水で淹れた中国茶は、ほかにはないまろやかな味わいです。また、浙江省紹興の料理を楽しめるレストランやホテルも併設されています。さらに周辺には観光農園も多いため、週末を利用して泊りがけでやってくる観光客も多いそうです。
北京は天安門や万里の長城など見どころが多い町ですが、こうした古刹を訪れる旅もきっと新鮮です。
大覚寺の入場料は20元(日本円でおよそ300円)。郊外の山のふもとに位置するため、気温が市内よりも2-3度低くなります。春や夏でも、はおるものを用意したほうがよいでしょう。
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