茘波県は貴州省の南部にあります。雲南省や広西チワン族自治区に接しています。このあたりは、亜熱帯の気候です。茘波県は雲貴高原にあって、一年を通して緑がいっぱいです。茘波県の面積は2431平方キロぐらいで、その森林のカバー率は50％を超えています。茘波県は少数民族が集まって住んでいるところで、総人口の87％を少数民族が占めています。主な民族はブイ族、シュイ族、ミャオ族、ヤオ族などがあります。

　茘波で一番有名なのはカルスト風景です。

　カルストというのは、地層が石灰岩で出来ている地域で，雨水や地下水の浸食によって特別の景観が生まれます。鍾乳洞などがよくあります。

　去年、茘波県にある「中国南部カルスト」は、世界自然遺産に登録されました。ここのカルストについて、世界自然遺産申請作業グループのキ保山さんは「荔波のカルスト地形は、世界遺産登録標準の第7条と第8条を満たしています。通常を超えた自然美と価値を持っています。地球進化の歴史を反映したすばらしい教材です。」と述べました。

　茘波県にはカルスト地形の見所が二つあります。大七孔観光区と小七孔観光区です。小七孔観光区に入ると、雄大な山、青々とした原始林、清らかな川と湖が目に入ります。耳には、清流の音と小鳥の鳴き声による森の交響楽が流れてきます。この緑の天国を、観光客は気軽に散策しています。北京から訪れた李さんは「私は、ここの水上森林が一番好きです。木が石の上に生えてすばらしいですね。美しい森林です。そして、水の上を散歩もできますから、面白いです」と述べました。

　李さんが話した水上森林は小七孔観光区の最も有名なスポットの一つです。遠くから見ると、繁った森はまるで水の中に漂っているようです。近くへ行ってみると、川の中の石の上に大きな木がいっぱい生えていることが分かります。これは、まさにカルストの独特な景観です。岩だらけのカルスト地形でも、樹木は負けていません。樹木は岩の隙間から栄養分を探し、その根を地中や周りに深く、広く伸ばしていきます。数百年、あるいは数千年経って、岩の上に樹木が生えている珍しい景観になりました。

　それから、小七孔では鴛鴦（オシドリ）湖という湖も見所です。オシドリはいつも雄と雌がそれぞれ1羽ずつ一緒にいます。この湖は二つの湖がつながっていて、まるで2羽のオシドリが並んで泳いでいるように見えるところから、オシドリ湖と名づけられたのです。繁った森と独特のカルスト地形が清らかな湖に映って、ロマンチックな風景となっています。ちなみに、オシドリという鳥は、中国で幸せな愛のシンボルです。ですから、カップルの皆さんはぜひこのオシドリ湖に行ってみてください。

　大七孔観光区は、オシドリ湖から5キロ離れたところにあります。原始林、峡谷、そして地下にある湖がこの観光区の主な見所です。ここは山が高く、谷も深く、川は急流です。また、洞窟には滝があり、滝の下には湖があります。

　小七孔観光区はロマンチックなところですが、大七孔観光区は雄大で迫力があります。

　観光区の最も有名なスポットは天神の峡谷というところです。峡谷に入ったら、ぜひ両側に聳えている崖をよく見てください。形がさまざまな鍾乳石と色鮮やかな植物が美しい油絵のようになっています。こんな美しい景色を見たら、思わず声を上げてしまう人がいるかもしれません。でも、それは絶対しないでください。原因ははっきり分かりませんが、この天神の峡谷では大きな声を出すと、周りの崖から石が落ちてきます。そのため、この天神の峡谷は地元の人から"恐怖の峡谷"と呼ばれています。

　小七孔と大七孔のようなカルスト地形にとっては自然環境を守ることが特に求められます。今、こんな美しい景色が見られるのは、ここの環境がよく保全されている証拠でもあります。この二つの観光区がともに「中国南方カルスト」として世界自然遺産に登録されたのは、その自然環境が認められてのことですが、これは一方で私たちへのプレッシャーにもなります。世界遺産に登録されるということは、全人類の財産になったということです。私たちにはここの自然を守っていく重い責任があります。

　アクセス仕方：

　茘波県は中国貴州省の南部にあります。まず、飛行機で貴州省の省都の貴陽に行きます。貴陽市から茘波県までは列車か長距離バスで行くことができます。茘波県の最も良い季節は夏です。原始林の中を歩き、カルストの独特な景観と美しい滝、湖を見ているうちに、暑さを忘れてしまいます。素晴らしい避暑地です。小七孔観光区の入場料は80元、日本円にすれば1200円ぐらいです。大七孔観光区のチケットは30元で、日本円にすれば450円です。

　以上、今週のワンポイントでした。