チベットは、チベット族の人たちみんなが仏教を信仰する特別な地域です。
チベット仏教でまず思い浮かべるのは、あの五体投地と呼ばれる独特な祈りの姿ですが、チベットではそんな場面をよく見かけました。もちろん、仏教の寺院ではそんな信者を大勢見ましたが、一番感動させてくれたのは、ラサから遠く離れた道で会った人達です。チベットの奥地はもちろん、四川省や甘粛省のチベット族の人々が多く住む、1000キロ以上も離れた地域から、五体投地をしながら、自分の足で一歩一歩ラサに向かう人たちの姿を見る度に、いつも信仰の力が強いなあと感動しました。全身を投げ出して大地に身を委ねながら、仏様のいるラサを目指すというのは、信者にとって一生の大事業なのかもしれません。
チベット仏教の信者は、生きて仏になることができると信じていますので、日ごろから自分を戒め、修業することを重視しているようです。ですから、聖地ラサを巡礼することは、非常に神聖的なものです。普段からコツコツとお金を貯めて、ラサに向かって出発します。彼らの最終的な目的地はラサ市の中心部にあるジョカン寺です。ジョカン寺はチベット仏教の総本山とされています。ジョカン寺管理委員会のニーマーツーレン副主任の話です。
「ジョカン寺はチベット仏教の信者たちが巡礼する目的地であり、チベット仏教の聖地でもあります。お寺に祭られているお釈迦様の等身大の仏像は、チベット地域で唯一の仏様として開眼供養されたものです。最初はインドから唐の長安に運ばれ、後に唐の太宗の皇女がチベットの王に嫁いだときここに運ばれてきたものです。ですから、この仏像はチベット仏教の信者にとって、お釈迦様そのものに当たります。五体投地してラサまで来た信者たちにとって、目的地はここジョカン寺です。」
長い旅を経て、ようやく釈迦様の前にたどり着いたときに、チベット仏教の信者たちはいったいどんな気持ちなのでしょう。
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