新疆は中国の西北部にあります。かつてシルクロードが通り、今も多くの民族が暮らすところです。古くから、ここは中国と中央アジア、西アジア、ヨーロッパを結ぶ交通の要衝でした。
新疆北部のジュンガル盆地の広々とした砂漠地域に位置する新疆ウィグル自治区野馬繁殖センターはアジア最大、世界でも2番目の規模の野馬繁殖センターです。このセンターで働いている張赫凡さんはセンターで唯一人の女性スタッフで、大学を卒業してから、このセンターに入り、今年で12年になります。
野馬の原産は中国ですが、一時は中国大陸から姿を消しました。この絶滅の危機に瀕した野馬を蘇らせるため、中国はイギリス、ドイツなどから18頭の野馬を輸入し、新疆のジュンガル盆地の東部に野馬繁殖研究センターを設立しました。スタッフたちの20年にわたる努力によって、センターの野馬は275頭に増えました。
1995年、21才の張赫凡さんは新疆農業大学を卒業し、新疆野馬繁殖研究センターに入り、獣医の仕事を始めました。センターの10数年前の状況を振り返って張さんは「当時、生活と仕事の環境は非常に苦しくて、給料も少ないものでした。若い女性の自分が荒涼とした砂漠で長く暮らすのは本当にたいへんでした」
張さんが仕事を辞めようと決定した日の夜、センターの「黒炭」という名前の野馬が急に病気で倒れました。ちょうどこの時は、旧暦の正月の連休にあたりましたが、張さんは帰省するのを辞めて、「黒炭」の世話をしました。この後、「黒炭」は張さんになつき、馬独特の方法で感謝の気持ちを表しました。これに深く感動した張さんは自分の仕事に非常に意義があると実感し、辞職する考えを捨てました。
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