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北京五輪まであと1年
   2007-08-17 15:10:08    cri

記念式典

写真1 カウントダウン1年記念式典

 来年の北京オリンピック開幕まで、8月8日であと1年となりました。この日は、天安門広場に特設の舞台が作られ、IOCのロゲ会長も招かれて盛大なカウントダウン1年を祝う記念式典が行われました。ロゲ会長は、中国や次の夏の五輪開催地のイギリスなど5カ国の組織委員会の会長に対して、北京五輪に参加する205の国と地域の代表として招請状を授与しましたが、開幕1年前の現地の式典でこうした招請状を渡すのは、五輪史上初めてのことだと言います。

 また記念式典では、カウントダウン1年を祝うために特別に作られた「We are ready」、「準備は万端」という歌が、中国大陸、香港、台湾の歌手の合唱によって歌われました。東京オリンピックの際のカウントダウン1年の時に、どんなイベントが行われたか、記憶は定かではないが、いずれにしても、北京のオリンピック熱は、東京オリンピックの時より間違いなくヒートアップしているなと感じた次第です。

鳥の巣

写真2 メインスタジアム「鳥の巣」(7月下旬撮影)

 1964年に開催された東京オリンピックの時、私は大学1年生。東海道新幹線が開業する前に、試乗運転の切符を手に入れて東京から三島まで往復した思い出があります。この時、高度成長期に入っていた日本は、新幹線や高速道路などインフラ設備の整備に力を入れ、またこの年は、日本がOECD(経済協力開発機構)に加盟して先進国の仲間入りをした年でもありました。そんな情況は、今の中国ととても良く似ていますが、オリンピックを迎えるための力の入れようは、明らかに中国の方が上ではないでしょうか。

 

 

五輪スローガン

写真3 街の五輪スローガン

 私がそう強く感じる理由のひとつは、中国では今、オリンピックを機会に市民のマナー向上を図ろうという国民運動が進められていることにあります。開幕から2年以上前の去年の3月、「オリンピックを迎え、マナーを重んじ、新風を樹立しよう」と名付けられた運動がスタートしました。北京市はこれを受けて「首都精神文明弁公室」(「文明」という中国語は、この場合「マナー、礼節のある」といった程度の意味)を設置し、「五大文明行動」をスタートさせました。

 

 

「列に並ぼう」運動

 写真4 「列に並ぼう」運動

 この運動は要するに、外国人から評判の良くないバスなどに乗る時の割り込みや、法規を守らない車や歩行者の通行、さらには不親切な店員の応対などを、オリンピックを機に改めようという試みです。このうち今年の2月から始まった「列に並ぼう」という運動では、毎月11日を運動日と決めて、ボランティアを動員し、列を作ってバスに乗るように誘導しています。ハード面でも、これまでは何本もの路線のバスが同じ所に止まっていたために、争うようにして乗るという状態に拍車を掛けていましたが、バス停を長く伸ばして、路線ごとに乗る場所を設定し直したりもしています。

 

 

標識には「列に並び、譲り合おう」

 写真5 標識には「列に並び、譲り合おう」

 また北京市「首都精神文明弁公室」は、商店やホテル、観光地の窓口の担当者を集めて外国からの観光客に親切に対応するようにという趣旨の講座を開いている他、「これからは所構わず唾を吐くのは止めます。ゴミもやたらに捨てません」という誓約書を市民に署名させる運動も繰り広げています。北京国際空港がある北京市順義区の都市管理部門は、10項目に上る禁止事項を決めました。その中には、空港やオリンピック競技場の周辺では「一台の白タクも許さない」「物売りや物乞いもいないようにする」「勝手に広告チラシを貼ってはならない」と細かく規定しています。果たしてこうした運動や規制が効果を上げるのか、今後の成り行きを見ていきたいと思っています。

 ところでこうしたマナー改善運動の他にも、北京五輪には興味を引く話題があります。そのひとつは、開幕式当日に雨を降らせないようにするため、北京市は「人工影響天気弁公室」という組織まで設立して、人工的に雨を降らせないようにする対策に取り組んでいることです。

 

記念式典

 写真6 カウントダウン記念式典

 開幕式が行われる8月8日という日は、過去のデータから見ると降水確率は50%と高く、そのうちの半分は大雨が降っているということです。それなのに8月8日に何故決めたのか、周りの中国の人に聞くと、「8という字は縁起がよいので、2008年8月8日午後8時に決めた」という答えはすぐに返って来ますが、しかし雨の降る確立が高くしかも暑さも厳しい8月上旬に何故したのかと、その理由を更に尋ねると「大学生が休みなのでボランティア活動に参加しやすいからではないか」「学校が休みだと、子供を送り迎えする車による交通渋滞がないからではないか」といった答えが返ってきますが、いまいちハッキリしません。

 その確かな理由は兎も角として、新聞の報道から総合すると、今年の8月8日に行われたカウントダウン1年の記念式典に向けても、人工的に「雨を降らせない作戦」が行われた可能性は高いようです。前日まではどんよりとした天気が続いていた北京の天気は、当日は晴れて記念式典は大いに盛り上がりました。作戦は見事に成功したようです。翌日の9日の新聞には、このニュースが大見出しで出るのではないかと予想していましたが、予想に反して全くその関係の記事は出ていませんでした。ところが9日の天気は、日中の気温が39度8分まで上がり、8月の北京の最高気温としては新中国が成立してからの記録を塗り替える暑さとなりました。そして翌日の10日の新聞には「この暑さは人工的に雨を降らせない作戦がもたらした産物ではないかという一部メディアの見方に対して、北京市の気象台はこれを否定した」という簡単な内容の記事が出ただけでした。果たして今回のカウントダウン1年記念式典に向けてどんな人工的雨防止対策が取られ、効果があったのかどうかは、今の所、謎のままです。

水立方

写真7 国家水泳センター「水立方」(7月下旬撮影)

 東京オリンピックの開幕式が行われたのは、1964年10月10日で、その日を記念して体育の日が設けられました。この日は、確か雨の降る確立がかなり低いことから決められたと記憶しています。自然に合わせた日本に対して、自然に打ち勝つが如くに中国は、雨の確立が高い8月8日を開幕式に選び、人工的に雨を降らせない対策に必死に取り組んでいるのです。ちょっと大袈裟に言えば、両国の自然に対する考え方の差が、開幕式の日程の決め方に表れているのではないかと感じた次第です。

(文:中村治、写真:中村治、任春生)

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