北京の寒い夜は、温かい食べ物に限る。火鍋もいいが、一人では多すぎて食べきれない。安くて、消化がいいものは何かないだろうか。こんな思いをしながら、食べ歩きをしていたら見つかりました。「路紀面館」という山西面を売り物にしているレストランです。
山西面は文字通り、山西省の郷土の味。捏ねたうどん粉を大根のように固め、それを包丁でそぎ落として鍋に放り込みます。刀削面の名のほうが親しまれているかもしれません。面のたれは醤油味だったり、トマトと卵をベースにしたものなどさまざま。日本でも山西面の店を見かけることがあります。
「路紀面館」にはいると、この粉を捏ね、削っている調理場が真正面に見えます。湯気が立ち上り、6人の料理人が腕をふるっています。
さて、この店中心部からは少し離れています。地下鉄1号線の玉泉路からタクシーでワンメーター6,7分で、周囲は中国人の住宅街です。北京の外国人は、ほとんどが天安門からみて東の地区、朝陽区に住んでいます。しゃれたレストランやバーがこういう人たちを目当てに次々と開店しますが、庶民的な雰囲気を味わうことは無理です。値段も高いし、だいたい北京っ子はそういうところに足を向けません。
「路紀面館」は開業して1年ちょっと。昼どきと夕ごはんの時には、60のテーブルがほとんど埋まります。みんなの狙いはもちろん、山西面。普通盛りが8元(120円)、大盛りで10元という安さです。一人では普通盛りでも食べきれません。早速、トマトがベースの金牌ロン鍋面に挑戦です。見た目は赤みをおびているため辛そうですが、まろやかな味です。
この道8年のチン陶さんは「削り方はほんとに難しい。面を太すぎず、細すぎず、そして長くもなく短くもなく鍋に放りこんでいくのに、何度も練習しました。でもおいしいそうに食べているお客さんの姿を見ると、苦労も忘れるね」と話します。
面のメニューは10種類。紹介したように量が多いので、何品も注文するのは無理。しかし、次回のタクシー代を考えるなら、無駄を覚悟で一挙に試すのも一考かも。
おかずも欲しいところですが、メニューを見るとなんと150種類近く。カラー写真つきなのでなんとかなりますが、それでも目移りします。ホール主任の徐愛雪さんの助け舟で「食縁焼菜」(12元)を注文。バラ肉,白菜、ビーフン、昆布を軽く炒めたものがでてきました。塩辛いのが苦手な人は遠慮なく要望を。
さて、この店一人当たりの予算はどれくらいになるだろうか。お腹いっぱいになって30から40元。まさに庶民の味、満喫だ。(文:吉田 明、写真:春生)
住所;北京市豊台区大成路21号
電話;(86)010ー6867ー5548
営業時間;年中無休
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