新疆は中国の西北部にあります。シルクロードの故郷で、多くの民族が集まり住むエキゾチックなところです。古くから、ここは中国と中央アジア、西アジア、ヨーロッパを結ぶ交通の要衝でした。
今年12歳の王毅誠さんは新疆ウイグル自治区の中心地・ウルムチ市に住む中学校1年生です。つい最近、「全国10人の優秀少年団員」に選ばれました。この名誉に対して、王さんは照れながらも、「10月12日に、北京でこの賞をもらいました。とてもうれしかったです。授賞式に出られたのは、私たちにとって学習と交流するよい機会になったと思います。ほかの優秀な9名の受賞者にも会いました。自由時間に、お互いに勉強や趣味などについて話し合いました」と話しています。
王さんは12歳ですが、すでに自分で発明した二つのものを持っています。それは、録音できる「インターホン」と携帯電話の盗難を防ぐ「携帯防犯警報機」です。
お母さんの劉愛喜さんは、「この子は4歳の時から積み木をするのが大好きで、図を見ただけで、あっという間に完成させてしまうのです。ですから、お父さんとは次から次へと上級のものを買ってあげていました。また、5歳の時、幼稚園では計算が一番速いほうでした。先生が数字を読み終わると同時に答えを言うほどでした」と紹介しました。
ところで、王さんが発明に目覚めたのは、幼いときお母さんからアメリカの「野菜畑から思いついた発明」という物語を聞かされたことでした。それは、少年フィロさんが実験を数え切れないほど重ねた結果、やっと1927年に初のテレビ画像の伝送に成功したという物語でした。この物語から王さんは、発明に興味を持ち始め、自分も「中国のフィロ」になりたいと心に決めました。それから普段の暮らしの中で、周りのことに気を配るようになり、分からないことがあると、とことんまで尋ねるようになりました。親も、王さんのために、子供向けの科学技術関係の雑誌や新聞を取っていました。
「録音インターホン」の発明については、王さんは、「ある日、用事でクラスメートの家へ行きました。インターホンを押したら留守でした。しかたがなく、伝言を隣の人に頼みましたが、この人が伝言を忘れてしまったのです。そこで、考えました。もし、インターホンに録音の機能がついたら無事に済んだのではないかと。お母さんに話して、いいアイディアだと励ましてくれました」と話しました。
録音インターホンの役割について、王さんは次のように説明しました。家主が留守の時にお客さんが訪れたら、インターホンの録音スイッチを押すと録音できます。家主が帰った後、再生のスイッチを押せば、インフォメーションを聞くことができます。録音インターホンは普通のインターホンと録音装置を一体にしたもので、実用的です。
この発明は後に新疆と全国でそれぞれ賞を取りました。その後、王さんはさらに回りの出来事に気を配るようになりました。ある日、家へ遊びに来たお客さんが、半年以内に携帯を2つもなくしたと悔やんでいました。その場で、王さんは、携帯防犯警報機があったらなと思いつきました。
王さんは、早速市内にある大手の電気市場を回り、市場調査を行いました。また、ネットで資料も集め始めました。関連製品がないことが分かり、警報機を開発することを決めました。四つの設計案を作り、最終的には、「磁気コントロール携帯防犯警報機」という案にしました。去年末、この発明は新疆青少年科学技術発明の二等賞になりました。さらに、王さんは国家の特許を申し込みました。
王さんが小学生の時の担任だった李琴先生は、「彼の一番の特徴は、諦めず、最後まで続けることです。無口に見えますが、実はよく考えるタイプです。決めた目標に向かって成功するまで頑張る人です」と感心しています。
王さんは、発明で成績を上げていますが、学校の学習も怠ることがありません。また、学校の下校後は、作文や英語のほか、テコン道、水泳などの塾にも通っています。家にいても、できるだけ家事の手助けをしています。お母さんの劉さんは、「勉強だけでなく、マナーや体育など、全体が発展することが大事だと思います。でも、個人的な趣味や得意なこと、専門の技術などを身につけることも大事です。社会人になったとき、いろいろな試練に対応できるのではないかと思います」と語りました。
今年、中学生になった王さんは、勉強がより必要になっていますが、発明家になる夢も広がっています。
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