新疆は中国の西北部にあります。シルクロードの故郷で、多くの民族が集まり住むエキゾチックなところです。古くから、ここは中国と中央アジア、西アジア、ヨーロッパを結ぶ交通の要衝でした。毎週のこの時間は、クイズを交えながら、今日の新疆をご紹介します。番組の始めと終わりに、クイズをお知らせしますので、よくお聞きください。
古くから東西文化を融合してきた新疆には、無形文化遺産が豊かです。しかし、グローバル化や近代化の波の影響で、多くの文化遺産が消えそうになっています。民間文化を守るため、今年9月25日から29日まで、新疆ウイグル自治区の中心地・ウルムチで、「第1回新疆民間文化祭」が開かれました。文化祭期間中、14の州から集まってきた300人あまりの人たちが、さまざまな技を披露しました。会場はいつも各民族の歌や舞踊などでにぎわっていました。
これはウイグル族で広く親しまれている「12ムカム」です。ムカムはウイグル語で、長い組曲の意味です。「12ムカム」は12組の歌と舞踊からなり、音楽、文学、舞踊などを一つにしたものです。これはウイグル族の暮らしを反映した百科事典と言われ、「活きた文化財」とも言われています。去年、国連ユネスコ・教育、科学、文化機関から「人類無形文化遺産の代表作」に指定されました。
マイガイティ県はムカムの発祥地の一つです。ここの民間芸能について、文化祭の司会は次のように紹介しました。
「彼らはムカムを歌わないと、喉の調子がおかしくなります。彼らは、なにもかも忘れて全身全霊をかけて歌います。2003年、彼らはフランス、日本、イギリスに渡って芸能を披露し、どの国でも受け入れられました」
ここマイガイティ県のムカムは「トウランムカム」という特殊な名前が付けられ、より普遍的で、「胸の底からの牧歌」と称えられています。しかし、地元でこれを歌える人は300人足らずで、九つの序曲を弾きながら全部歌える人はさらに少なくなっています。今、地元政府はこれらの人たちのために、暮らしに困っている老人たちを集め、集団生活の形で暮らしを保障しています。しかし、この伝統芸能を保存していく上で、若者の後継者が少ないという課題を抱えています。
お碗を頭に載せたまま踊る「ディンワン踊り」は、エキゾチックな舞踊で、新疆の少数民族の人々に深く親しまれています。この舞踊の奇抜なところは、頭に載せたおワンを落とさずに踊ることです。まさに芸と技のコンビです。カシュ市からやってきたウイグル族のお年寄り ローズ・アヤフさんは、この踊りの達人です。この日、白髪のアヤフさんは歌っているうちに、踊りだしました。お碗がなかったので、替わりにハミメロンを頭に載せたのです。半分しゃがむ姿で、両腕を胸の前にさし出して舞い、風のように軽々とダンサーの間を行き来しています。観客は息を呑むばかりでした。アヤフさんが暮らしている県は年間平均所得がわずか1000元、日本円にしておよそ1万5000円しかないという貧しいところです。交通が不便なことから、閉鎖的で、ウルムチのような大都会は別世界のように見えたようです。
「幼いときから踊りが大好きでした。12歳から頭にお碗を載せて踊るトンレーニングを始めたのです。上手になってから、メロンを載せて踊る練習をしました。この技を若者に伝えたいです。私は田舎育ちなので、カシュ市へ出かけたのも一回か二回だけでした。ウルムチはこれが始めてです。ここは本当きれいで、あっちこっちぶらぶらして見物したいが、迷子になりそうで、あきらめました。来年の文化祭が楽しみです」
新疆ノブノールの住民が踊る獅子舞は、民間で1000年ぐらい踊り続いています。これを踊るには体力とノウハウが必要です。86歳のサイピディングさんは、ユリ県で唯一これを踊れる人です。頬骨が突き出ており、やせ顔をしています。小麦色??した皮膚に、白くて長い頬髯をしています。しゃんとしており、元気いっぱいです。皺が多い顔はさまざまなことを物語っているようです。踊るときはサイピディングさんは、飾り物の頬髯を飾り、舟形の帽子をかぶり、小さなひょうたんがいっぱい飾られれたマントを纏います。この獅子舞のついて、サイピディングさんは、「この踊りはノブノール人の間で数千年踊り続いています。この踊りについては、次の言い伝えがあります。大昔、あるノブノール人が飢えている子獅子を見て、家に連れ帰りました。あのとき、水の入れ物はひょうたんしかなかったが、その中の水は冬は凍らず、夏はぬるくなりません。この人はまず、ひょうたんから水を出して、子獅子に飲ませてはしました。そのうち、この人は獅子の動作をまね始めたのです。これで獅子舞が生まれました。この獅子舞は平和の気持ちの表れではないかと思います」
この技が引き継がれるため、サイピディングさんは三人の弟子入りしています。その一人は孫さんです。でも、孫があまり興味がなく、稽古のときは集中しないのが、悩みの種になっっているそうです。
今回の文化祭の会場には、これら舞踊のほかに、鮮やかな布、素朴な陶器、さまざまな形をした彫刻、ウイグル族の医薬なども展示されています。
これら貴重な無形文化財を保護し、発揚させるため開かれた、第1回新疆民間文化祭は、歴史と今を結ぶ架け橋だと言えるのではないでしょうか。
|