旧暦で祭日を祝う事の多い中国では、今年、七夕祭り(七夕節)が7月31日と8月30日の2度も訪れました。中国では七夕を「中国バレンタインデー」と呼び、2月14日の「西洋バレンタインデー」と同じように、若い男女がプレゼントを贈ったりしますが、今年は2度目の七夕となった8月30日にも一部の商店では、ペアのネックレスやTシャツ、携帯電話のストラップなど、若いカップルに狙いをつけた特別セールを行っていました。
旧暦に関する知識と言えば、中国では旧暦のお正月「春節」を賑やかに祝うことしか知らなかった私にとって、一体何故、2度も七夕が来るのか、初めは狐につままれた感じがしました。そこでネットなどで調べた所、旧暦には「閏月」という月があり、今年は7月の後に「閏7月」が来るために、七夕が2度も来ることになったことを初めて知りました。中国のある新聞記事によると、七夕が2度も訪れるのは、38年に1回のことで、次は2044年になると書いてありました。大変珍しいことだったのです。
新暦では4年に一度、閏年となって2月29日が巡ってきますが、では旧暦の閏月というのは何年ごとに訪れるのか、何人かの中国の方に聞いてみましたが、答えはバラバラでした。そこで旧暦に関する初歩の初歩を調べることにしました。そもそも旧暦とは太陰太陽暦と言い、月が地球を1周する長さを基準とする太陰暦と、地球が太陽を1周する長さを基準とする太陽暦とを組み合わせたものだということから勉強を始めました。
そんな私が理解した所によりますと、旧暦は月の満ち欠けを基準にひと月を決めるので、平均するとひと月は29.5日しかない(日にちは、実際には小数点以下がある複雑な数字ですが、ここではおおよその整数にしています。他の数字も同じです)。それに12ヶ月を掛けても354日にしかならない。一年の長さは地球が太陽を1周する長さで決まってくるので、365日ある。そうなると毎年11日ほど足りなくなる。この差を調整するために作り出したのが閏月だということです。太陰暦の一年の長さは太陽暦より11日短いので、3年経つと33日もの違いが出てきてしまう。このため3年に一度、早いときには2年に一度、閏月を入れることによって、太陰暦と太陽暦とを調整しているのだという事が分かりました。
では次に、閏月を何月にするのかという疑問が出てきます。これを決めるには、太陽の高さによって決められている「二十四節気」(立春や立秋、冬至など)の考え方を取り入れて決めているそうなのですが、閏月の決め方が書かれている文章を読んでも、文科系出身の私には良く分かりませんでした。
ただ今回の話題を調べていて、「なるほど!」と思ったことがあります。旧暦の時代には、1年の日数は平年で354日程度、閏年には384日程度と大きく変わり、ひと月も29日と30日とが不定期にやってくる。このため例えば1月30日に生まれた人は、翌年必ず1月30日が来るとは限らないので、誕生日を毎年祝うことが難しい情況にあったようです。このため、生れた時を1歳とし、正月を迎えればみんなでひとつ歳をとるという「数え年」が普及したのではないかという事でした。
中国では、春節、七夕節以外にも、旧暦で祝う祭日が、端午節(旧暦の5月5日)、中秋節(旧暦の8月15日)、重陽節(旧暦の9月9日)など色々あります。北京に来て半年経ちますが、実はまだ中国のカレンダーを購入していませんでした。旧暦の祭日はいつ来るのかを知るために、今年も後わずか4ヶ月となりましたが、カレンダーの購入を決意した次第です。(文:中村 治)
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