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果樹の薪で焼かれるダック |
焼かれる前の家鴨(ダック) |
飴色の光沢を放つ北京ダック |
中国の昔の表玄関口"前門"、その東大街正義路の胡洞の中に利群焼鴨店がある。北京の焼鴨(北京ダック)店で、抜群の知名度を持つのがこの店だ。これだけ有名な店だが、前門東大街で降車して、300メートルほどの路地を歩かなければ、この店には辿り着かない。
グルメの国はフランス、ディスカールデスタン氏が大統領時代、胡同の路地にSPを従え、名物の北京ダックの味覚を楽しんだのは、語り草になっている。その他、各国の政府要人、政治家や、俳優、歌手などもこの店に足を運んでいる。最初の外人客は、一人のドイツの青年だった。それら外国人の口コミが、今日のように、外国人に人気の店に成長したという。
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店外に積まれた果樹の薪 |
ダックの心臓と野菜炒め |
家鴨のから揚げ |
50代半ばのオーナー張立群さんは、もともと焼鴨の老舗「全聚徳」の一コックに過ぎなかった。しかし、1992年に一念発起して独立、前門東大街に店を構えた。当初は、ホテル、会社、一般家庭への"北京ダックの出前"を業とした。その後、併行してここに客席を作り、現在では70席を持つ中クラスのレストランとなっている。従業員は20人、年中無休をモットーに知名度を上げた。
この店が繁盛したことについてオーナーの張立群さんは、「本物の味覚を伝統的方法で作ること、従来、ダックを焼く時は松の薪を使ったが、ダックの味を引き出せないので、ナツメ、リンゴ、ナシなど果物の薪を使うことにした」と拘りを話す。確かにあの"利群特性の焼鴨"は、口に入れると果樹の甘味が、ほとばしるようだ。この果樹の薪は、北京近郊から取り寄せているという。オーナーは、「コストはかかるが、お客本位の味を追求するため」と付け加えた。
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食卓に盛られた北京ダック |
食べる状態になった北京ダック |
われわれがオーダーしたのは、「干焼四宝(アヒルの胃袋とピーマンと筍の炒め)」、「焼鴨1羽」、「焦塩鴨架(鴨肉のから揚げ)」、「ダックをはぎ取った肉の唐揚げ」、「鴨ガラのスープ」のフルコースで、一人当たり60人民元(邦貨875円)だった。これと同じメニューを、著名な店に食べに行けば、3倍から数倍の予算が必要だろう。
だから、この店に足を運ぶ客は後を絶たない。このため店の食事時間は、一席90分と決められて全て予約制だ。だからいつ行っても、席を待つお客が行列を作っている。また、外国人が多いのもこの店の特徴だ。
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席が空くのを待つ客たち |
食事を待つアメリカの高校生たち |
最後に張立群オーナーに伺った。「例えば、王府井に移転し収容人数の多い店に拡張しては?」と水を向けた。オーナー曰く、「そんなところ行くと、コストが高くなり"庶民の店"にならないよ。ここで十分」と明快な答えが返った。"薄利多売"がこのオーナーの「商いのコツ」のようだ。 (撮影・文:阿部 仁)
利群焼鴨店
住所;崇文区前門東大街正義路北翔風11号 〒100051
電話;86ー010ー6705ー5578,6702ー5681
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