チベットの高原は世界の屋根と呼ばれ、多くの地理学者や探検家に南極、北極と並んで、地球上の「第三極」と呼ばれています。青海省の省都、西寧市はこの世界の第三極にあります。
西寧は2008年北京オリンピックのマスコット「迎迎(インイン)」の故郷です。また、オランダの国花、チューリップの故郷とも言われています。「西寧の独特な地形と気候は、チューリップ栽培に最適だ」と教えてくれた西寧市の駱玉林市長はさらに、「高原では気温が低く、温度差が大きく、紫外線が強いため、各種の花々、特にチューリップの生育には最適な場所だ」と述べました。
毎年5月になると、西寧では「チューリップ祭」が開催され、市内で400万株を上回る高原チューリップを一斉に咲き誇ります。
5月以外に、夏も西寧観光にはいい季節です。毎年の7,8月には、中国の多くの都市は酷暑の季節ですが、西寧は涼風がそよそよと吹きます。一番暑い日でも、最高気温は20℃以上になることは稀です。国家観光局の王軍副局長は「国内、海外を問わず、観光客は夏に西寧を訪れ、観光する傍ら、避暑もできる。これほど理想的な避暑地は、全国はおろか、世界でも稀だとの評判がある」と語りました。
このような涼しい気候の中、西寧郊外にある400年以上の歴史を持つ仏教聖地、塔爾(タール)寺を見学することも味わいのある旅になります。
タール寺は西寧市南西、約25キロ離れたところにあり、中国西北地区の仏教活動の中心地です。タールは敷地面積、約40万平方キロで、1000余りの庭と4500を超える寺院などの建物からなる中国式とチベット式を兼ねた建築群です。寺院で最も注目すべきものはタール寺の三大芸術絶品といわれる壁画と「堆繍」と呼ばれる刺繍、そして、酥油花(バター細工)です。
壁画では、敦煌の莫高窟にあるものを思い浮かべる方が多いと思います。その千年に経っても依然鮮やかな色彩と素晴らしい技法、そして、描かれた真に迫る人物は、いずれも人々に強いインパクトを与えています。このタール寺の壁画は色彩や技法の面で、莫高窟に勝るとも劣りません。
また、「堆繍」は中国の一部の少数民族でよく使われる刺繍の一種ですが、ここタール寺に収蔵されている18枚の「堆繍」作品は、人物の目と歯が黒真珠と象牙で作られた極めて珍しい品です。しかも、全部僧侶たちによって作られたものです。
酥油花(バター細工)はタール寺の芸術三大絶品のトップとされています。毎年冬に、タール寺の僧侶たちはバターと小麦粉を混ぜたバター細工で花や鳥、そして、人物などの作品を作ります。その作品は物語や仏教の経典を題材にしたものがほとんどです。毎年の正月十五日、各地の信者がタール寺に集まり、盛大な酥油花(バター細工)大会が開かれます。
<西寧の観光案内>
チューリップ祭を見るなら、5月が一番いいですが、7、8月は、避暑旅行が最適です。
チベット高原には漢方薬、チベット医学の薬材が豊富で、使い方がわかれば、お土産になります。また、地元の食べ物なども賞味する価値があります。そして、タール寺の入場料は1人80元で、西寧市からタール寺までのバスが数本あり、チケットは5元で、アクセスには便利です。タール寺では毎年4回だいほうえ大法会が行われ、それぞれ、1月14ー15日の金剛怖畏護法踊りと酥油花の展示、4月15日の金剛怖畏護法踊りと仏晒し、6月7ー8日の金剛怖畏護法踊り、転金仏、馬首金剛護法踊り、そして、9月22ー23日の仏の礼拝、馬首金剛護法踊り、ツォンカバ円寂きねんえ記念会などです。大法会が開催される時がタール寺見学の最もいい時期でもあります。
|