日本の茶道のお茶の点て方、つまりお手前は、各流派によって多少異なる。だが中国茶に関しては、大同小異だ。そこで今回は茶道より簡単でしかも美味くお茶が楽しめる中国茶の点て方をご紹介する。
まず最初にするのはコップを温めること。これは冷えた器にお茶を注ぐと、温度差でお茶の味を落とすからだ。これを洗茶という。次にお茶葉を洗う。飲む前に少なくとも3回洗うのだ。雲南省で作られるプーアル茶はその過程で、伝統的な手法で作られるので、埃が混じることもある。これはいうならばお茶を美味しくいただくための"下準備"である。もう一つの意味は清潔さを保ち、本来のお茶の旨味を蘇らせるためだ。
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コップを熱湯で暖める |
.琥珀色のお茶と瓜菓子 |
ゆっくり口に入れ舌で味わい喉へ |
器は透明なガラスコップを使うが、茶の色合いを見るためだと言う。注がれたお茶をかざして見ると、深みのある琥珀色が観賞できる。その色合いは透明感(混ざり物が無い)があり、紅ければ紅いほどいいお茶の証拠である。
次に味わい方を紹介しよう。色を観賞している間に温度が下がり"飲みごろ"になる。それを舌の上で転がして、ゆっくり喉へ送り味わう。ほんのりとした甘さが広がるはずだ。味覚はなめらかな感触がたまらない。
プーアル茶その甘味が身上だ。日本茶は和菓子のような甘い御茶請けが似合う。だが中国茶は、瓜の種を塩をまぶして炒った塩気のあるものに相性が良い。
この日のお手前は5年もののプーアル茶をご馳走になったが、古いほど高価である。まさに高級の洋酒と同様の感覚。飲むのでなく色や香りを味わうもの。使用する水も気配りが必要で、深山幽谷の湧き水が最良、無ければペットボトルが次善の策。お手前の水温は沸騰したものを使うこと。
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5年もののお茶の葉 |
茶杓で葉を入れる |
熱湯を注いで茶を3回洗う |
一回のお茶は小さな急須で十数回使うことが出来る。しかし3回から6回目までのお茶がもっとも美味しいうとされる。
もし左党の方が深酒をしたときや二日酔いを改善する効能がある。胃にもいいし、血液をサラサラ効果は抜群とか。
この日お茶を点ててくれた張陳玉さんは、入社1年足らずの女性だが、「お茶の文化はきりがない。一生を使っても極められないでしょう」と話した。
プーアル茶は1番茶(最初の若芽)が最も高価で、その昔は皇室への献上品だった。2番茶、3番茶は一般的。日本は湿度が高いので保存は注意が必要。日の当たらないところ(通風の良いところ)に湿気を遮断して保存のこと。 (撮影・文:阿部 仁)
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