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九月九日・「陽数」が重ねる日
   2006-11-03 20:04:59    cri

 古くから中国では(1)奇数を「陽数」とし、9は10までの数字の中で最大の「陽数」とされています。このことから、「9」で最高のものを譬えていました。例えば、天の一番高いところを「9重天」と言い、皇帝に関わる建物には「9」とその倍数が活かされていました。北海公園に飾られている(2)「九龍壁」は内外の観光客に広く親しまれています。特に、皇帝が天を祭る「天壇公園」では、9の数がふんだんに使われ、壁の数や壇を敷く石などの数は9の倍数になっています。旧暦の9月9日は、この最高の陽数が重なるため、最も縁起のいい日とされ、「陽数」が重なる節句、(3)「重陽祭」として今日まで大事にされています。

 旧暦の9月9日の日には、2800年前の漢の時代から人々は山のぼりをし、蒸しパンを食べるようになりました。1800年ぐらい前の晋の時代からは詩人(4)陶淵明にちなんで、菊の酒を飲むことが加わりました。1400年ぐらい前の唐の時代にはさらに(5)ゴシュユという植物を腕につける慣わしが深く根付いていました。1989年には、この日が(6)「敬老の日」とされました。というのは、(7)「九」の発音は永久の(8)「久」の発音と同じで、「九九」は語呂合わせとして、元気で長生きできるようにという願いが込められています。

 「重陽祭」については漢の時代、次のような言い伝えがあります。大昔、山の麓に、やさしくて勤勉な農家がありました。主人は人助けをするのに熱心でした。ある日の夕方、主人が農作業を終わらせて帰るとき、「一晩泊めてくれないか」と一人のお年寄りに声を掛けられ、泊めてあげました。それだけでなく、おいしいものもご馳走してあげました。翌朝、お年寄りが去ろうとするとき、「旧暦の9月9日、お宅に災難が訪れるから、高いところに逃げなさい。高ければ高いほどいいよ。それに、草木の少ないところにしなさい」と言い残しました。この日になって、農家の人たちは言われたとおりに山の高いところに逃げ、麓を見下ろすと、家が大火事になって焼き払われてしまいました。火の手は山まで伸びて来ましたが、周りに草木が少なかったため、全く危険な目に会わずにすみました。この話はあっという間に周りに広がりました。そのご村の人たちは高い山に逃げて難を逃れた人をまねて、毎年9月9日になると、高い山に登るようになりました。でも、毎年高い山に登るのは大変なので、数枚重ねの蒸しパンを食べることにしたということです。(9)「蒸しパン」は中国語の発音では「gao」で、高いと同じだからです。もう一つの伝説の中では、「腕にゴシュユを付けて逃げなさい」というものがあって、村民が疫病から逃れたということです。ゴシュユという植物は、旧暦3月ごろから花が咲き始め、9月ごろになりますと実ります。その実は体を温め、痛みを和らげ、嘔吐を止める効果があって、漢方薬の一つになっています。

 このように旧暦の九月九日・「重陽祭」は、民間では古くから重んじられてきました。それを祝うとき、健康のための行事もあれば、年配者への尊敬の気持ちを表す内容もあります。「重陽祭」のように、時代と共に中身が膨らんでいくお祭りは少ないようです。

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