1930年に開店した「東来順飯庄」は王府井の大通りにあり、内モンゴルの上等な子羊を使った北京で最も有名なしゃぶしゃぶレストランです。煙突の付いた鍋を使うのが特徴で、ぐつぐつと煮たっているスープの中に肉、野菜、春雨、豆腐などを入れ、それを薬味や醤豆腐などを混ぜて作ったタレにつけて食べます。
「羊のしゃぶしゃぶ」と聞いて、北京っ子が真っ先に思い浮かべるのは、この老舗「東来順(ドンライシュン)」です。そこで出される羊肉は、すべて内蒙古の専用牧場で飼育された、2歳未満の去勢した雄の羊肉です。しゃぶしゃぶ用として使われるのは、1頭分の羊肉のわずか3割だということです。運ばれてくる肉は上品に赤く輝いて見えます。
ごまみそ、発酵豆腐汁、唐辛子油など数種類の調味料を加えて作られた秘伝のタレに、たっぷりと香菜(中国語で「シアンツァイ」、パクチー)を入れます。厚さわずか0.9ミリにスライスされた羊肉を、ネギやシイタケなどの薬味が入ったスープにさっとくぐらせます。さっぱりとした旨みが口いっぱいに広がり、体の芯まで温まます。羊肉の脂肪が吸収されにくく、肥満防止にもいいらしいです。スープの中に白菜、冬瓜、ジャガイモ、豆腐、きのこなどをどんどん放り込んで食べるのをお勧めします。
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