今、前門(正陽門)の大柵欄街の東の入口の近くで営業している「六必居」は、文字の資料が残っている北京でいちばん古いお店です。
明の嘉靖9年(1530年)に、山西・臨汾西杜村の趙存仁、趙存義、趙存礼三兄弟が店を興したとなっています。はじめはお酒を造っていたようで、その屋号「六必居」は、うまい酒を造る上での六必須??「稲黍必ず斉い、陶瓷必ず良く、 蘖(こうじ)必ず実り、水泉必ず香り、湛之必ず潔く、火候必ず得たり」から生まれたとかということです。
「六必居」の漬けもののなかで、わたしがいちばん好きなのは「甜醤八宝菜」です。北京特産の香瓜にピーナツ、クルミなど八宝(八種類の珍味)を添えて漬けた漬けものです。清の同治八年(1869年)、開業の老舗「天源」からも同じ名前の漬けものが出ていますが、「六必居」の「甜醤八宝菜」には生姜が入っています。
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