ブッシュ政権は25日、金融市場を救済し、貸付市場に流動性をもたらすため、8000億ドル規模の新しい救済策を決定しました。その前日の24日、次期大統領のオバマ氏は7000億ドルの経済刺激案を採択するよう議会に呼びかけると明らかにしました。ブッシュ政権は任期満了まであと2カ月足らずという間にも金融市場の救済に力を入れます。一方、オバマ氏はこれまでの控え目な態度を改め、経済分野を事前に掌握しようとする動きを見せています。また、政権交替段階で生じる権力の空白を避けるため、双方は協力を緊密化させるとの考えを表明しました。専門家は「双方はアメリカ経済を救うため寸刻もおろそかにしていないが、経済分野でポイントを稼ぎ合っている」と見ています。
アメリカ連邦準備委員会と財務省は25日、「住宅ローンからクレジットカードまでさまざまな貸付を支援するため、アメリカ政府は8000億ドルを拠出する。これはアメリカ政府が金融市場を救い、経済成長を刺激するために講じた最新の措置である」と発表しました。
オバマ氏は24日、当選後2度目となる記者会見で経済チームのリストを発表し、その大規模な経済刺激案を説明しました。
オバマ氏はニューヨーク連邦準備銀行総裁・ガイトナー氏を財務長官に指名し、また、クリントン政権で財務長官を務めたローレンス・サマーズ元財務長官が国家経済会議の次期委員長に、さらに、カリフォルニア大学バークレー校のクリスティーナ・ローマー教授を経済諮問委員会の次期委員長に任命することを発表しました。
ブッシュ政権とオバマ陣営の金融救済案は、重点を置くところが異なっています。アメリカ連邦準備委員会と財務省が実施する8000億ドルの救済策は、不動産市場と金融市場への支援を目的としていますが、一方、オバマ陣営が提出した経済刺激案は、今後2011年1月までにインフラ整備や公共サービス、さらにクリーン技術分野の投資を通じて、250万の雇用を作り、中低収入層を対象に減税措置を講じることになります。オバマ氏は「この計画はアメリカ経済のために堅固な基礎を築き、今後国際競争の中で競争力を保ち続けることを狙いとしている」と述べました。
実は、経済危機の対応でオバマ氏とブッシュ政権の態度が変わりつつあります。ブッシュ政権は今年の初め、1680億ドルの経済刺激案を提出したあと、新たな救済策の提出にためらいをみせており、今、8000億ドルの救済策を速やかに実施するのは予想外のことです。一方オバマ氏は経済チームを発表した当日から直ちに働きかけ、新しい経済刺激案をできるだけ早く採択しようと議会に呼びかけました。
専門家はブッシュ政権とオバマ氏の態度の変化はアメリカの景気後退が深刻化しつつあり、双方が経済分野でポイントを稼ぎ会うためだ」とみています。
|