全世界に広がる金融危機の影響により 、アメリカやEUの経済成長は緩やかになり、将来的には、後退する可能性も大きくなっています。一方、「世界経済のエンジン」の一つと言われる中国経済はこの危機を「エンスト」せずに乗り越えられるのでしょうか。専門家は、「世界的な金融危機に直面し、中国は経済の安定かつ比較的速い成長を保ち、世界経済の安定にも貢献できる自信と能力を持っている」と見ています。
中国社会科学院金融研究所の李揚所長は、「今回、中国の金融体制は直接的な衝撃はあまり受けなかったが、その中から教訓を汲み取り、経済のサービス原則を堅持し、金融業の過度な膨張を防ぐべきだ」と指摘しています。李揚所長の話です。
「第一に、投資銀行は良いと思います。しかし、ここ数年、投資銀行はヘッジファンドへと変容しています。これは学ぶべきではありません。第二に、リスクコントロールを強化し、リスクを最初から消滅させるべきです。第三に、直接融資や間接融資などはバランスの取れた発展を実現しなければなりません」
金融危機の影響を受けて、中国経済の成長率は9月から下落し始めました。これにより中国政府はマクロ経済政策に対して大きな調整を行い、積極的な財政政策と適度に緩和された通貨政策を実施しました。また同時に、内需を拡大するための10項目の措置を打ち出し、投資総額4兆元に達する景気刺激策を決定しました。中国政府のこういった措置は、経済を安定させ、成長を保つという断固とした決意と自信を見せています。
世界経済が後退に陥ったとき、金融危機は実は中国経済の転換を促す契機となっています。中国はこれをきっかけに60%に達する対外貿易への依存を改め、内需を刺激することでバランスのとれた経済構造を確立することができるのです。中国の王軍財政次官の話です。
「中国の内需拡大の政策は、発展途上国、特に原材料の輸出国にとって非常に有利だと思います。中国は鉄道建設などインフラ整備により、原材料の需要が増えます。これによって、それらの国々の経済は中国の経済建設に引っ張られます。それから、付加価値税の転換や企業の技術革新に伴って、大量のハイテクや先進設備も導入されるでしょう。この面においては輸入の需要が大きくなります。」
もちろん、内需の刺激は外部市場への放棄を意味してはいません。北アメリカやヨーロッパなどの市場の需要が減少すると同時に、中国政府は新興市場の開拓を支援しています。中国国務院はこのほど、12月1日から鋼材や食糧、化学工業製品などの輸出税を減免することを発表しました。これは輸出成長を維持するシグナルとなっています。国民経済研究所の樊綱所長はこう語っています。
「大きな危機が発生し、人々の予期所得が下がると、高級商品を買わなくなりますので、人々の需要は生活必需品と安い製品へと変わっていく可能性があります。中国はちょうどこのような製品のメーカーですから」
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