APEC・アジア太平洋経済協力会議第16回非公式首脳会議が22日から2日間の日程でペルーのリマで開かれていますが、中国の胡錦涛主席は22日、初日の会議で演説し、開放された協力、互恵の精神で、世界経済の発展に向けて直面している課題に共に対応していくよう各方面に呼びかけました。
APECは世界で最も規模の大きい地域的な経済組織です。今年の会議は、世界金融の危機が深刻化している時に開かれたことから、注目されるようになりました。22日に行われた初日の会議で各国・地域の首脳は、金融危機や食糧とエネルギー安全、貿易保護主義など、当面の国際経済社会の発展で最も際立った問題について議論しました。世界で最も活力のある新興国として、中国の立場は注目を集めました。
胡錦涛主席は演説の中で「急速に拡大し、幅広く波及している金融危機は、世界経済が成長に向けて直面している最も深刻な課題である。各国は迅速に措置を講じて、危機の拡大を食い止め、世界金融市場を安定化させ、積極的に経済成長を促進していくべきだ」との考えを示しました。その上で「国際社会は十分協議する中で、公平で公正、寛容かつ秩序ある新しい国際金融秩序を確立するという方向性を把握し、全面的かつバランスの取れた、また漸進的で実効性のある原則を堅持し、国際金融システムに対して必要な改革を行わなければならない。各国は、持続不可能な経済成長モデルを着実に改めると共に、今回の金融危機が発展途上国に及ぼす影響に十分関心を寄せ、発展途上国が発展を維持できるよう支援する必要がある。中国は国際社会と共に、国際金融市場の安定を維持し、APEC加盟メンバーと共に金融分野での経験の交流と協力を強化していきたい」と強調しました。
貿易保護主義について、胡錦涛主席は「各国は多国間貿易体制への信頼を持ち続け、ドーハラウンド・多国間貿易交渉の一日も早い再開と成果が得られるよう推し進めていく必要がある。また、その地域の現実を十分考慮し、各国が配慮しながら、地域経済一体化を絶えず進めていく必要がある」と述べました。
また、胡錦涛主席は「各国は協調行動を取って、世界の食糧安全とエネルギー安全を確保しなければならない。食糧安全問題では、各国は共同の発展という理念に即して、食糧生産を重視し、食糧供給を拡大し、食糧取引の環境を改善し、公平かつ合理的な農産品取引秩序を確立する必要がある。また、市場の過度な投機を抑制し、食糧市場の価格を安定させ、能力のある国は食糧危機に陥った国、特に発展途上国を援助することが必要だ」と指摘しました。エネルギー問題については、「各国は互恵協力、多元的発展、協調と保障という新たなエネルギー安全意識を確立し、着実に実施し、エネルギー供給のグローバル化と多元化を実現し、クリーンエネルギーと再生可能なエネルギーの利用を増やすよう提唱しなければならない」と述べました。
さらに胡錦涛主席は「経済のグローバル化が進む今日、中国の未来は世界の未来と緊密に関わっている。中国は平和と安定、調和と協力という国際的な発展環境を必要としており、このような環境を整えるために自ら貢献したいと考えている。中国は一貫して、平和発展の道を歩み続け、互恵と相互利益という開放的な戦略を貫徹していく。中国は平和で開放された協力的な発展を求めており、平和で共に繁栄し、調和の取れた世界の建設を推進するために自ら貢献していく」と強調しました。
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