APEC・アジア太平洋経済協力会議の第15回非公式首脳会議が8日から9日まで、オーストラリアのシドニーで開催されます。中国の胡錦涛国家主席を含む、APECに加盟している21の国や地域の首脳らが出席し、気候変動への対応や環境に配慮した発展、世界貿易機関のドーハラウンド交渉、および地域経済一体化などについて意見を交わします。

　現在、世界やアジア太平洋地域の政治情勢は全体的に安定しており、経済は穏やかに成長し、地域協力も深まっています。しかし一方、経済の不均衡問題や貿易保護主義の台頭、エネルギーと資源問題の増加、それに環境の悪化などが深刻になっています。これを受けて今回のAPEC首脳会議は、「持続可能な未来」をテーマとして、2段階に分けて協議を行うことにしています。第1段階では、気候変動問題を専門的に討議し、第2段階でそれ以外の議題について話し合います。

　今回のAPEC首脳会議では、気候変動問題がとくに関心を集めていますが、その理由は2つあります。まず、APECの加盟メンバーは、この問題の対応について早めに検討する必要があります。気候変動に関する国連機関・IPCCはこのほど、調査報告を発表し、気候変動と人間の活動とのかかわりについて、「人間の活動が気候変動をもたらす可能性は90％以上だ」と認めた上で、「大気中の温室効果ガス濃度を低い水準に安定させるのは可能であり、世界各国はただちに行動をとるべきだ」と強調しています。また、先進国が規定した温室効果ガスの排出削減についての「京都議定書」は、有効期限を2012年としており、現在、関係各国は、2012年以降の削減目標について検討しています。そのため、APECを含む国際社会はいま、この問題について早めに協議する必要があるといえます。

　気候変動問題が今回のAPEC首脳会議で注目される2つ目の理由は、APECの加盟メンバーを含む関係各国は、気候変動の対応について意見が食い違っているため、交渉を通じて意見を一致させる必要があることが挙げられます。気候変動はいま、環境や気候の問題にとどまりません。政治や経済などにも影響を及ぼしており、その実質は、各国がエネルギーや経済の優位性を競うことにあります。その結果、世界の資源の利用と分配につながっています。したがって今回のAPEC首脳会議では、この問題について協議を行い、気候変動について合意文書を発表することになっています。

　また、今回のAPEC首脳会議では、世界貿易機関のドーハラウンド交渉も議題の一つとなっています。世界の貿易総額の半分以上を占めるAPECが、今回の首脳会議でどのような共通認識に達するかが、ドーハラウンド交渉にとって重要だとされています。

　また地域経済一体化について今回の会議では、一体化プロセスを促進するため、「アジア太平洋地域経済一体化報告」を発表し、地域経済一体化を推進する政策や提案を採択する予定です。

　今回のAPEC首脳会議について世論は、「加盟メンバー間の交流や協調に役立ち、この地域の平和や発展にプラスとなる」と見ています。(翻訳：鵬)