朝鮮が12日、韓国に対して、南北関係に関する「重大措置」を二つ発表しました。一つは、12月1日から、軍事境界線の陸上による通過を制限・遮断すること、もう一つは、朝鮮赤十字社が、板門店(パンムンジョム)にある連絡代表所を閉鎖し、南北間の直通電話を断絶するという二つの措置です。朝鮮は「南北関係はいま全面的に中断される重要な分岐点にある」と韓国政府に警告を出しています。これにより、朝鮮半島は再度試練に直面することになりました。今日の時事解説では、これについてお話します。
今年2月、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が就任後、それまでの対朝鮮政策を調整し、南北経済協力は互恵を踏まえることを強調し、さらに経済協力を朝鮮の核問題と結びつけました。また、南北間で締結された一連の協定を見直すとしています。これらの協定には金大中(キム・デジュン)元大統領と盧武鉉(ノムヒョン)前大統領が朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長とそれぞれ調印した「南北共同宣言」と「南北関係の発展と平和繁栄に向けた宣言」が含まれています。この二つの宣言は、南北関係のガイドラインであり、双方の交流と協力の基礎でもあります。これに対するイ・ミョンバク政権の否定的な態度は朝鮮の猛烈な反発を引き起こし、全ての政府間対話が中止される結果となりました。
さらに、今月の初めに、韓国は初めて共同提案国として第63回国連総会に対して、朝鮮に関する「人権決議案」を提出しました。韓国が決議案の中で、以前締結された二つの宣言を支持するといった内容を削除したことを受けて、朝鮮は尊厳と体制を「正面から傷つけた」、「ひどい挑発」だとして抗議しました。また、韓国の一部の右翼団体が風船を飛ばして朝鮮にビラなどを撒き、朝鮮の指導者の重病説などを流したことに対して、朝鮮は「これらの行動は、すでに危険レベルではない。韓国が宣言に基づいた協定を放棄したことになる」と数回にわたって警告しました。このような経緯があって、今日の厳しい情勢になったとみられます。
一方、韓国統一省の金虎林報道官は12日、朝鮮の発言に対して遺憾の意を表し、政府間対話を希望する意向を述べました。金報道官はコメントの中で、朝鮮のこのような措置は、南北関係の改善に向けたこれまでの努力にマイナスの影響をもたらすとして、韓国政府が二つの宣言が含まれるこれらの協定の原則を尊重すると改めて表明するとともに、その実行のために朝鮮と現実を踏まえて協議していきたい意向を強調しました。
朝鮮が12日に発表した措置では、口調は厳しいながら、対話する余地も残しているとみられます。例えば、陸上の通過を厳禁するのではなく、「制限・遮断する」という言い方をしており、「直ちに実行する」のではなく、「12月1日から」というふうにしています。また、赤十字社が発表した措置についても、いつ実施するかは明言されていません。朝鮮半島の今後の情勢について、まだまだ注目が必要です。(翻訳:閣、チェック:吉田)
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