(4)リスクに対応できる銀行システムの構築が必要
記者:経済の長期的かつ持続的な発展という観点から見れば、求められる外貨管理と外貨為替制度はどのようなものだと思いますか?
余所長:人民元の段階的な切り上げという方針が決定されれば、資本に対する管理が必要だと思います。人民元の切り上げのスピードは資本管理の有効性次第です。資本管理が有効になってはじめて、人民元切り上げの自主性を考えることができるのです。すなわち、切り上げの速度は中国が自分でコントロールできます。当面、中央銀行が国境にまたがる資本流動に対する管理を強化することは非常に必要になってきます。特に今、株式市場が非常に低迷している情況の下で、外資が株式市場に流れ込むことを防がなければなりません。 長い目から見れば、資本の自由化は回避できないことですが、この目標を実現するには、健全で金融危機に対応できるシステム、特に銀行システムの構築が急務となってきます。 中国の外貨準備高は近いうちに2兆ドルを突破することになります。世界のどんな機構にとっても、このような巨額の外貨を管理することはなかなか難しいと思います。人民元切り上げという情況の下で、企業と国民に為替リスクを分担してもらうのは無理なことです。 われわれは今、外貨準備高が増え続けていることを阻止しなければなりません。人民元の切り上げはこの目標を実現させる最も直接的かつ効果的な方法です。理論的には、中央銀行が外貨市場への関与を停止すれば、外貨準備高の増加は即時にストップします。その上で、われわれは戦略物資を購買する形で、一部の外貨を使用するのです。重要なのはやはり為替レートです。合理的な比率に調整できれば、輸入が増えていくと思います。
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