先週北京で閉幕したASEM・アジア欧州首脳会議で、いかに金融危機に対応するかが主な議題になりました。多くの発展途上国の指導者が「金融危機が発展途上国にもたらす影響を軽視してはならない。危機に対応する場合、発展途上国の利益を考慮すべきだ」という考えを示しました。
今の金融危機に対して、アメリカや欧州などの先進国への影響が注目されています。実際には、金融システムが不完備で、経済力がわりと弱い多くの発展途上国にとって、その危害がもっと深刻です。これについて、世界銀行の林毅夫副総裁は「金融危機の発展途上国に対する影響は先進国より大きい。外部投資と外貨準備高が減ったことで、発展途上国の流動資金の量に影響が出るだろう」と指摘したあと、また、「発展途上国への投資がある程度減少している。その上、こうした国家がそもそも大量の債務があるので、返済危機に見舞われる恐れがある」と語りました。
今回の金融危機に対応するため、各発展途上国が積極的な措置を講じています。ベトナムのグエン・タン・ズン首相が記者団のインタビューを受けた際、「ベトナムは去年から不動産価格が暴落した上、株価も70%下落し、インフレ率が25%になった。ベトナム経済が大きな打撃を受けている。そのため、今回の金融危機に対応するため、ベトナムは内需を拡大し、区域協力を促進などの措置を講じるべきだ」と述べ、さらに「金融危機に対応するため、ベトナムは内需を拡大し、輸出を促す措置を講じると同時に、外資を誘致する一連の優遇政策と柔軟性のある金融政策を実施している」と語りました。
このほか、インドネシアを含む多くの発展途上国が相次いで対応措置を講じています。そのうち、資金の外国への流出を防ぐため利率を上げたり、新しい市場を開拓するため、対外貿易政策を調整したり、また、内需を拡大したりするなどの内容が盛り込まれています。
同時に、発展途上国の協力強化も非常に重要です。パキスタンのギラーニ首相は「南南協力を通じて、発展途上国は大いに役割を果たすことができる」と述べています。
「発展途上国の銀行協力を強化することができるし、投資分野の協力を強化し、合弁会社などをつくることもできる。パキスタンの友人として、一部の発展途上国はこれまで、パキスタンに各方面から支援してきた。われわれはこれを喜んでいる。この関係がさらに強化されていくだろう」
多くの先進諸国の指導者も、国際的な金融危機の対応に発展途上国が欠けてはならないと見ています。これについて、EU・欧州委員会のバローゾ委員長は「我々は相互依存している。一部の人は今回の金融危機の中心はアジアではなく、影響を受けないと見ている。しかし、実際はこれと違っている。われわれは一緒につながっている」と述べました。
アメリカで開かれるG20 サミットには、一部の発展途上国も出席することになります。ロシアのラブロフ外相は「主要な発展途上国の参加がなければ、国際金融危機を乗り越えることを目指す国際サミットが効果を上げることはできないだろう」と強調しました。(翻訳:トウエンカ)
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