アメリカのチェイニー副大統領は3日から、アゼルバイジャン、グルジア、ウクライナの3カ国に対する歴訪を始めました。
世論は「チェイニー副大統領の訪問先はいずれも旧ソ連の加盟国で、ロシアの後背地である。歴訪は3カ国政府へのアメリカの支援を宣言したものである」と見ています。
グルジア外務省は8月29日、「ロシアとの外交関係を断絶する」と発表しました。
これに対し、ロシアのメドベージェフ大統領は2日、イタリアのテレビ局のインタビューに答え、「グルジア政府は破綻している。サーカシビリ大統領は政治的には死んだも同然である」と述べました。
ロシアのメディアはこのほど、「NATOの艦船10隻が黒海のグルジア沿岸に接近し、黒海艦隊の一部艦船はアブハジア自治共和国の中心都市スフミに入港し、周辺の空軍も臨戦状態にある」としました。
グルジアとロシアの対立が激化し、アゼルバイジャンとウクライナもロシアの勢力圏からの脱出を求めています。
チェイニー副大統領の国家安全保障顧問は「アメリカはグルジアなどの地域における発展と安全保障について重要で、永続的な利益を有している。副大統領は訪問先の3カ国に関係強化の約束を改めて強調した」と述べました。
アメリカ政府は3日、グルジアに対する約10億ドルの支援を表明しました。
ロシアはアメリカとNATOの勢力拡大に対抗して、南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立を承認し、紛争に軍事介入しました。
アメリカはロシアの行動を強く非難し、副大統領によるグルジアなどの歴訪によってこの地域での行動能力を誇示しています。
また、チェイニー副大統領の3カ国歴訪では、エネルギー協力も検討しています。
エネルギー供給でEU諸国はロシアに大きく依存しています。
そのため、ロシアを回避してカスピ海産出の原油を直接EU諸国に送る輸送パイプライン計画が実現されれば、ロシアに大きな打撃を加えることになると見られています。
これを受け、ロシアのメドベージェフ大統領は「冷戦が起こる事態を含め、我々は何も恐れていない。我々は冷戦を望んでいない。アメリカを含め西側諸国とは建設的な関係を持ちたい。そのためには現実主義、互いに尊敬し合うことが必要である」と述べました。
(ジョウ)
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