中国の経済は五輪の開催後にもこれまでのような成長を続けられるか、長い間、皆の関心事となってきました。この問題について、中国国家発展改革委員会マクロ経済研究院の王一鳴副院長は、五輪が中国の経済発展の分かれ目になることはないと述べました。
五輪の開催後に、中国経済は発展の原動力が不足する恐れがあると心配されています。これについて中国国家発展改革委員会マクロ経済研究院の王一鳴副院長は、五輪の開催後つまり「ポスト五輪」になると、競技施設やインフラなどの建設による大規模な投資需要が低下し、内外の観光客による大きな消費需要が弱まるか、或いはまったく消えてしまう可能性があることを認めました。しかし、これまでの30年間、中国経済の速く持続的な発展を支えてきた原動力は変わることなく、また五輪による投資などの増加が中国経済全体に占める割合は小さいため、中国経済の速く安定した発展が五輪によって変わることはないと述べました。
「北京の経済は去年、国全体の3.6%しか占めていない。五輪競技施設の建設やインフラ整備のための投資はだいたい3000億元で、投資が最も活発だった過去4年間で計算すれば、年平均750億元だ。これが、社会全体の固定資産投資に占める割合は0.55%から1.06%に過ぎない。だから、北京五輪の影響は小さい」
王副院長の話によれば、これまでの7年間、中国経済を引っ張ってきた主な要素は、貯蓄率の向上やインフラ整備の投資拡大、経済グローバル化への積極的な参加などがあり、これらの要素は五輪の開催後も変わることはないということです。
一方、王副院長は、五輪が経済の発展に課題を与える可能性もあることを認めました。その上で、世界経済の変化により、外国からの需要が弱まるとともに、景気の周期的な下落もあり、内外の2つの面で中国経済の不確定要素を高めていると指摘しました。こうしたマイナスの影響に対応するために、五輪がもたらす積極的な要素を拡大すべきだと、王副院長は述べています。
「五輪の閉幕後も競技施設を利用して、国民生活の質を改善していく。また、『グリーン五輪、科学技術五輪、ヒューマン五輪』の理念を活かして経済の発展方式の転換を推進する。そして、五輪が近代サービス業をけん引する効果を十分利用していきたい」
王一鳴副院長は、五輪競技施設の建設やインフラの整備は中国経済を牽引するが、その効果は短期的なものに過ぎないと見ています。それよりも、長期的には、国民のマナーの向上や投資環境の改善、開放の拡大、国際的イメージの向上などで積極的な効果があると指摘しました。したがって、中国経済は発展の可能性が大きいと述べました。
「中国の工業化はまだまだ中期にあり、都市化の水準は、世界の平均水準より低い。そして一人あたりの国内総生産は、去年は2500ドルくらいだったが、これは先進国と比べてまだまだ差が大きい。だから、中国は、産業の発展やインフラ整備、都市化建設の投資市場が非常に大きい」(翻訳:鵬)
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