経済の発展に伴ってエネルギーの消費量や汚染物質の排出量が増加している問題を解決するため、中国各地ではここ数年、循環型経済を発展させ、科学的発展を進めています。その中で、中国広東省の江門市は、循環型経済を推進することにより、環境に優しく、清潔でエネルギー消費量の少ない生産を実現しています。
製紙業は従来、エネルギー消費や汚染の問題があるといわれていますが、江門市の広東銀洲湖紙産業拠点で行われる紙の製造は、違うようです。ここでは、原材料から配慮が行き届いており、蒸気や廃棄された紙のリサイクルなどを実施することで、廃棄物の処理コストが大きく減っています。これについて責任者の黎国新さんは、次のように述べています。
「発電作業で発生する蒸気を集めて、その蒸気圧を動力として設備を動かすことができる。これは、廃棄物を宝に変えたといえるだろう」
これと同時に、この産業拠点では、機器の冷却に使われた水を回収し、灌漑に用いています。このほか、固体の廃棄物は発電所のボイラーの燃料に、廃棄された紙はまた紙の生産にそれぞれ利用することで、木材の使用量が減らされました。
拠点内にある発電所の責任者である区豪基さんは、このようなリサイクルにより、発電所と製紙工場がともにコストを節約できるとともに、企業の競争力アップにつながるといいます。
「私たちの循環型経済という発想は、各産業のエネルギーをまとめることにより、節約ができるとともに、汚染の削減もできる。また、発電と製紙という二つの産業の競争力をアップさせることもできる」
ここでは、2007年の工業総生産が、去年の同期より4割増え、10億元に上りました。拠点内の多くの企業は、これをきっかけに、生産規模を拡大しました。循環型経済は、すでに企業誘致の看板にもなっています。維達製紙会社の李建彬行政専務は、こう語りました。
「我々の企業は循環型経済の担い手であるとともに、受益者でもある。ここで工場を作ると、他よりも毎年640万元が節約できる。そしてコストの減少、汚染の削減、エネルギーの総合利用につながる。経済的利益と社会的利益を得られるのが私たちにとって大きなメリットだ」
江門市経済貿易局は「2020年になると、紙くずの使用量は毎年600万トンあまりに達し、2500万立方メートル相当の木材を節約できるようになる。また、石炭の利用効率は22%高くなり、これで毎年96万トン相当の石炭を節約でき、また、毎日の水の使用量を12万立方メートル減らすことができる」と予測しています。
江門市経済貿易局の責任者の李勇戦さんは、「この紙の産業拠点の設立は循環型経済を発展させるための新しい道を探るものであり、この経験を市全体に広めるべきだ」との考えを示しました。
「今後、われわれは循環型経済成長パターンを推し進め、同業社を集めて、廃水などを集中的に処理するなどの措置を講じ、江門市の経済をさらに振興していきたい。」
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