地中海連合首脳会議がパリで開催された13日、イスラエルのオルメルト首相、パレスチナ自治政府のアッバス議長、フランスのサルコジ大統領はエリゼ宮で3者会談を行いました。
会談後の共同記者会見で、オルメルト首相は「中東和平交渉はかつてないほど合意の可能性が近づいている」と語りました。
また、アッバス議長は「中東和平のロード・マップに従って協議を推進していく」との姿勢を示しました。
サルコジ大統領はEU議長国を代表して「中東和平プロセスへの参与は充分ではなく、より大きな役割を果たしていくべきである」と強調しました。
これにより、EUとサルコジ大統領が提唱して発足した「地中海連合」の中東和平交渉への影響力は拡大していくと予想されています。
サルコジ大統領は就任して以来、イスラエルを支持する立場を取っています。
EUはアメリカ、国連、ロシアと共に、中東和平を推進するための4者会談を行ってきましたが、アメリカが大きな影響力を発揮する一方、EUは人員的、物質的または資金的な支援を行うにとどまっています。
ブッシュ大統領の任期が来年1月に満了となることを受けて、EUは中東問題への影響力拡大を狙っています。
「地中海連合」は北アフリカや中東など地中海沿岸諸国とEU加盟国との協力機構として発足したものです。
中東和平プロセスで「地中海連合」は新たな交渉の場となる可能性があります。
しかし、イスラエルやシリアなど国家間の対立が依然続いているほか、EUで国民投票により欧州憲法条約が否決されるなど、「地中海連合」の役割が疑問視されています。
イスラエル国内では、2006年のレバノン進攻で与党カディマ内部でオルメルト首相の責任追及と辞任を要求する声が高まりました。
また、2007年にはオルメルト首相の汚職疑惑が浮上し、非難が高まり、最近では法務省による捜査を受けています。
こうした内政状態で、オルメルト首相が中東和平交渉に応じ、核心的利益に関わる問題で譲歩することは不可能となります。
しかし、イスラエルが譲歩しなければ、中東和平交渉は妥結できないことは周知のとおりです。
パレスチナ内部では、ファタハとハマスの抗争が続いていますが、アッバス議長の支持基盤であるファタハの勢力が削減され、パレスチナ人全体を代表することが困難となっています。
こうした現状で中東和平交渉の進行は楽観視できないと見られています。
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