イスラエル南部とパレスチナのガザ地区で23日夜から24日にかけ、イスラエル軍とパレスチナの武装勢力による衝突が発生しています。イスラエルとパレスチナ各派は今月の19日からガザ地区で6ヶ月にわたる停戦を発表しましたが、今回の衝突は、双方の停戦に新たな課題を与えたと言えそうです。
パレスチナのガザ地区から23日夜、一発のロケット弾がイスラエル南部地区に撃ち込まれました。これにより、イスラエルとパレスチナが発効させたばかりの停戦合意が破壊されました。そしてイスラエル軍は24日の未明、ヨルダン川西岸のナブルスで軍事作戦を行い、イスラム原理主義組織「イスラム聖戦」のメンバー2人を射殺しました。今回の停戦合意には、ヨルダン川西岸でのイスラエル軍の活動は含まれていません。しかし停戦合意が発効した後、「イスラム聖戦」は、「ヨルダン川西岸でイスラエル軍に攻撃されれば報復する」との警告を出しており、24日にイスラエル軍にその2人のメンバーが殺害されたことを受けて、「イスラム聖戦」は、イスラエル南部に3発のロケット弾を撃ち込んだというのです。
以上の一連の事件は、イスラエルとパレスチナの関係に新たな緊張を引き起こしています。イスラエルのオルメルト首相は、ロケット弾攻撃事件を「これは明白な停戦違反だ」と非難し、対応措置を取ると表明しました。これに対し、「イスラム聖戦」は、「パレスチナ人の安全を守るため、これ以上の攻撃は行わないが、イスラエル側が作戦をやめなければ、より大規模な報復活動に出る」と強調しました。
ところで、今回の停戦合意の「段階的な条件」という内容と双方の需要から見ると、停戦は、イスラエルとハマスの双方にとって有利だといわれています。停戦合意では、イスラエルとパレスチナの各武装勢力がまずガザ地区での攻撃を停止します。これを前提として、次の段階では数日後に、イスラエルが、ガザに近い地域で貨物輸送を一部許可することになっています。そして現在、この2つのことは順調に実施されているということです。
一方で、このような「段階的な緩和」により、双方の停戦に多くの課題も出ています。
その一つは、それぞれ利益にかかわる問題の交渉で双方がどこまで合意できるかということです。つまり、ハマスの武器密輸の放棄や、イスラエル軍兵士とパレスチナ囚人との交換、ラファ検問所の再開などで双方が一致に達しなければ、新たな衝突は避けられないと見られているのです。
もう一つは、イスラエルでは政治情勢の不安定により、政府のガザ政策が確定しないことです。イスラエルの労働党やメレツなどの政党は24日、議会の解散とオルメルト首相の退任を改めて求め、また、右派政党の「イスラエル我が家」は、停戦合意を「ハマスを含むパレスチナ武装勢力に降服したものだ」と批判しました。
したがって、ガザ地区の停戦について、アナリストは「情勢は変わりやすく、停戦合意は破壊されやすい。安定を保つには、双方が自制しなければならない」と指摘しました。
|