イスラエルのバラク国防相は25日、ガザからのロケット弾攻撃への報復制裁として、電力と燃料の供給を制限する措置を承認しました。
先週の閣議でイスラエル政府は、イスラム原理主義組織ハマスが支配するガザ地区全域を「敵対地域」と決定しました。
制裁の第一段階はガザ地区の一部に対する電力と燃料の供給を制限し、夜の給電時間を2時間減らし、ロケット弾攻撃を受けた場合、停電時間を延長するということです。
イスラエル国防省の幹部は「ガザ地区の武装勢力自身が攻撃を厳しくチェックしなければならない。正常な生活を求めるならば、対外攻撃より内部問題の解決を優先させるべきだ。停電の目的はこれにある。人道問題を生じないため、病院や救急車などへの電力と燃料の供給は継続する」と述べました。
ガザ地区は電力の70%をイスラエルに依存しているため、停電になれば、困窮化している住民の生活は苦しさがさらに深刻になると予測されています。
パレスチナ自治政府は「イスラエルの制裁はガザ地区住民の生活を一段と悪化させる」と憂慮と不満を示しています。
エレカット交渉相は「パレスチナ住民の権益を擁護し、人道に違反する制裁を止めさせなければならない」とイスラエルへの干与を国際社会に呼びかけました。
ハマスは「イスラエルの制裁決定は150万人にのぼるガザ住民に対する犯罪であり、バレスチナ人への集団懲罰だ」と非難しました。
イスラエル国内でも一部の世論からは「ガザからのロケット弾攻撃を抑制するため、空爆や暗殺攻撃、国境閉鎖、貿易制限など一連の措置を講じてきたが、効果が見られない。先月、ハマス支配のガザ地区を敵対地域と決定したが、国際社会から批判された。給電の制限は効果があげられるのか」と疑問視する声も出ています。
また、イスラエル政府の治安機関は「電力と燃料供給の制限はハマスによるロケット弾攻撃の規模と射程の拡大を誘発するだろう。イスラエルによる激しい反撃は必至で、南部地域の緊張はエスカレートされる。ガザへの大きな圧力はパレスチナ内部の分裂を激化させて、間接的にアッバス議長への圧力を拡大させることになり、来月アメリカで開かれる中東和平国際会議にも有利ではない」とし、国防省内部でも慎重論が出ています。
|