イスラエルは20日、拘束していたパレスチナ人255人を釈放しました。こんなに多くのパレスチナ人が釈放されたのは3年ぶりのことです。釈放された人のほとんどは、パレスチナ自治政府のアッバス議長が率いるファタハの活動家で、イスラム原理主義組織ハマスのガザ地区制圧に対するアッバス議長への支援と見られています。
この日、ヨルダン川西岸にあるイスラエルのベツニヤ検問所で、拘束していた人を引き渡す手続きが行われました。イスラエル軍のバスから降りてきたパレスチナ人の一部は、地面にひざまずき、地面にキスをする人もいました。また、一部の人は、Vサインをして見せ、国旗やアッバス議長の写真を高く掲げました。30分後、釈放されたパレスチナ人を乗せたバスは、ラマラにあるパレスチナ自治政府の建物に到着し、そこで待っていた家族に暖かく迎えられました。
今年、二十歳のアハメドさんは、釈放された人の一人で、母親と抱き合った後、「とてもうれしい。アッバス議長に感謝している。いつまでも感謝する」と語りました。
アッバス議長は、この日、釈放された人たちと会見した際、「これは、始まりにすぎない。すべてのパレスチナ人が家に戻り、自由を享受できるようになるまで努力していく」と述べました。
しかし、この目標の実現は、容易なものではありません。イスラエルの監獄管理機関の関係者によりますと、現在、イスラエルに収監されている1万人余りのパレスチナ人の多くは、イスラエルへのテロ行為に関与したため、釈放されるめどがたたないということです。
今回釈放された255人は、イスラエルへの襲撃に参加しなかった人で、しかも大部分がファタハに属しており、イスラエルは、かれらがアッバス議長の力になり、ハマスと対抗することを期待しています。
パレスチナの一般市民は、イスラエルが徴収した税金をこのほど、パレスチナ自治政府に引き渡したことや、今回のパレスチナ人釈放は、アッバス議長が民衆から支持を得るためにはプラスになると見ています。
パレスチナ人釈放の前日、アッバス議長は、選挙の前倒しを呼びかけましたが、ハマスはこれに反対し、また、イスラエルが255人のパレスチナ人を釈放したのは「政治的賄賂」だと非難しました。ハマスの幹部ハニヤ氏は、「パレスチナ人が自分の家に戻り、家族と一緒になることはうれしいが、警告しなければならないことは、これはイスラエルが仕掛けたわなで、『政治的賄賂』だ。イスラエルの"好意"に対しては警戒心が必要だ」と指摘しました。
ヨルダン川西岸において、アッバス議長の支持率は上昇しているものの、ハマスが選挙に強く反対すれば、選挙の実施が難航する可能性もあると見られています。(翻訳:藍)
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