欧州連合は23日、ルクセンブルクで閣僚級会合を開き、イランに対する更なる制裁措置を発動することで合意しました。
制裁は、イラン最大の金融機関メリ銀行のEU域内にある全資産を凍結し、ロンドン、ハンブルク、パリにあるメリ銀行支店の営業を禁止する。イランの核開発に関わっている個人のEU諸国への渡航を禁止し、関連機関の資産も凍結するというものです。
EU高官は「今回の制裁は今月中旬スロベニアで開かれたEU・アメリカ首脳会議で定めたものだ。EUはイランとの交渉を継続する意向を維持している」と述べました。
今月中旬のEU・アメリカ首脳会議は、イランが査察を受けてウラン濃縮を停止しないならば、金融制裁の強化策を取ることを決定しました。
一方、EUはこれまで3年間続けてきた外交努力を放棄せず、ソラナ共通外交・安全保障上級代表が14日、安保理常任理事国とドイツによる交渉再開に向けた新しい見返り案をイランの指導者に提示し、ウラン濃縮活動の停止を改めて要求しました。
イランへの制裁について、EU内部では見解の一致に至っておらず、一部のEU加盟国はアメリカとイランとの直接交渉を期待しています。
EU・アメリカ首脳会議でイギリスのブラウン首相はブッシュ大統領の提案に応じ、イランのメリ銀行の資産を凍結し、イランの原油と天然ガス輸出に対し、制裁を強化すると発表しました。
21日、核開発問題の交渉責任者であるイラン最高安全保障委員会のジャリリ事務局長は「核問題をめぐる交渉は双方が利益を得る原則を守る」との立場を表明しました。
23日、イラン外務省は「核問題の解決に向けて、交渉を継続する用意がある。安保理常任理事国およびドイツはイランの提案に対し、平等な扱いをすべきだ」と強調しました。
ところで、イランはこれまで「ウラン濃縮活動の停止は交渉の内容ではない」との立場を維持してきました。
世論は「交渉が継続されても、西側が満足できる結果を得ることは不可能だ。イランは核開発のための時間を得るだろう」と見ています。
世論はまた「EUの新しい制裁は、見返り案を大きくする一方で、核開発資金の調達ルートを遮断する狙いがある」と指摘しています。
EUの制裁に対し、イランの国内メディアは「制裁に備え、イランの金融機関はEU域内にある資産の一部を金や証券に転換するか、アジア地域の銀行に移転した」と報道しました。
また、イランの経済閣僚は「われわれは世界第4位の原油輸出国であり、アメリカなど西側の制裁は経済に大きな影響を与えない」と反発しました。
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