セルビア南部のコソボ自治州が17日独立を宣言しました。
これを受け、EUは18日、ブリュッセルで外相理事会を開き、コソボの独立を協議し、今後の対応策を検討しました。
しかし、会議で加盟国の間に意見の対立が見られ、コソボへの国家承認は各国が自ら判断することになりました。
会議で採択された声明は「加盟国の主権と領土保全を擁護する国連憲章と安保理決議の原則を尊重する。1990年代の紛争および国連コソボ暫定行政ミッションを考慮すると、コソボの独立は国連の原則を遵守する特異なケースである」としました。
会議の後、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、ベルギー、スウェーデン、チェコ、デンマーク、フィンランド、ポーランド、アイルランドなどはコソボへの国家承認を宣言しました。
一方、スペイン、キプロス、ギリシャ、スロバキア、ルーマニア、ブルガリアなど少数民族の分離独立問題を抱えるEU諸国はコソボの独立に反対を表明しています。
数十年間にわたってバスク地方の分離独立問題を抱えているスペインのモラティノス外相は「コソボの独立宣言は一方的で国際法にのっとっていないため、認められない」と改めて表明しました。
1999年6月10日、安保理は決議1244を採択し、セルビアの主権と領土の尊重を定め、国連暫定統治機構による統治を行ってきました。
しかし、コソボ総人口の90%を占めるアルバニア系は独立を強く要求しました。
去年3月アメリカとEUは国際監督下の独立を支持する決議案を安保理に提出しましたが、ロシアに拒否されました。
また、去年11月、国連が授権し、EU、アメリカ、ロシアが仲介するコソボの最終的地位をめぐる交渉はセルビアとコソボの対立持続で失敗に終わりました。
そのあと、アメリカはコソボの独立を支持すると明らかな立場を表明しました。
イギリス、フランス、ドイツなどのEU主要国は「コソボの独立により、バルカン地域で紛争の火種が恒久的に封印され、この地域のEUへの加盟を推進できる」と見ており、アメリカと同様の立場をとってきました。
EUは16日、セルビアとロシアからの反対を顧みず、コソボに総勢2000人規模の文民使節団を派遣することを決定しました。
使節団は国連暫定統治機構に代わって行政と司法の機能を発揮することになっています。
また、18日の声明でEUは、バルカン地域の安定性を強調し、国連諸機関との協力を維持していくとの姿勢を示しました。
一方、コソボの独立に反対する多くの国はバルカン地域や周辺に位置し、「欧州の火薬庫」といわれるこの地域が不安になることを憂慮しています。
ルーマニアのバセスク大統領は18日、自制を保ち、少数民族問題を念頭に置いて過激な言論を控えるよう与野党に呼びかけました。
|