EU(欧州連合)の春季首脳会議が13日夜、ブリュッセルのEU本部で開かれました。今回のサミットは2日間の日程で行われ、特に経済問題が焦点となります。「リスボン戦略」の向こう3年の実施計画や金融市場の変動に関する対策などが討議される予定です。
今回のEU春季サミットが直面している経済情勢は楽観視出来ない状況です。原油価格の上昇やユーロの値上がりによる影響を受け、2年間安定した伸びを見せていたユーロ圏の景気は去年の第四四半期から減速し、今年の経済成長率も予測された2.2%から1.8%に引き下げられました。一方、アメリカの住宅ローンによる金融危機もEU諸国の投資や消費に影響を与え、EU経済にとってさらにマイナスとなっています。そのため、当面の経済に対する対策を探ることが今回のサミットの差し迫った任務の一つです。
まず、EUの経済発展に関する「リスボン戦略」は今回サミットの主な議題の一つです。2000年に定められたリスボン戦略は、2010年までにEUがアメリカに取って代わる世界で最も競争力のある経済体になることを目標としてます。しかし、結局、2005年、EUはこの計画目標を見直し、経済成長と雇用促進を2010年までの新しい発展目標にしました。これまでの3年間、改められたリスボン戦略はEUの経済発展を推し進めました。去年、ユーロ圏の経済成長率は2001年以降、初めてアメリカを超え、失業率も年々減少しています。しかし一方、アメリカ経済の伸びが鈍化し、ユーロは大きな値上がり圧力にさらされています。先月26日、ユーロの対ドル為替レートは1ユーロ=1.5ドルの大台を突破しました。ユーロ高が続く中、ユーロ圏の輸出は大きな影響を受けています。そのほか、原油価格の上昇によって、EU経済はさらに苦境に陥り、向こう3年、リスボン戦略は大きな困難に直面していると言えます。
当面の経済問題をめぐって、EU委員会は去年12月、2008年から2010年までのリスボン戦略の実施案を策定しました。知識と創造、商業の健全化、労働力市場の改革、エネルギーや気候変動などをめぐって、各加盟国は経済改革のための具体的な対策を出しました。今回のサミットはこの実施案を審議して可決し、EUの今後の経済発展に新しい活力を注ごうというものです。
一方、EU経済の健全発展を脅かしている国際金融市場の変動も今回サミットのもう一つの重点です。去年夏に起きたアメリカの住宅ローンによる金融危機はヨーロッパの金融市場にも影響を及ぼしました。多くのEUの金融機関はアメリカ住宅ローンの金融商品を購入していたため、大きな損失を蒙りました。また、住宅ローンの危機による金融機関の貸付は市場の流動性不足を引き起こし、投資や消費活動が厳しく制限されました。ヨーロッパの中央銀行は何度も金融市場に資金を追加したものの、貸付の緊縮局面はいまもなお改善せず、EU経済の将来性が懸念されています。
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