現在、中国は、被災地の救援作業を急いでいます。被災者へのケアと復旧活動を積極的に推し進めると同時に、地震による2次災害を防ぐことが急務になっています。特に、崩壊した水利施設と土砂による堰止湖が、2次災害を引き起こす恐れが高まっています。中国は、水利施設と堰止湖に対する警報体制を強化し、緊急事態と地元住民の避難の対策案を制定しました。中国は、人々の生命と財産の安全を確保するため、2次災害をできるだけ防ぐために全力をあげています。
地震による2次災害とは、感染症など疫病の拡大、ダムの決壊による洪水、化学工業企業の施設の損壊に伴う有毒物質の流出による環境汚染など、一連の他の災害です。地震発生後、中国は、疫病の予防作業を強化し、被災地での汚染源を点検しました。これまで、被災地では、大規模な疫病や環境汚染の発生はありませんでした。しかし、地震により、被災地の一部の水利施設が破壊され、川が土砂でせき止められて生まれた堰止湖も、下流地域に大きな脅威をもたらしています。
中国の鄂竟平水利次官は、「危険のあるダムに対し、水利省は専門家を招集して診断を行い、水位を下げたり、水を全部排出するなどの措置を講じた。現在、四川省での被害を受けたダムのうち、69基で水を全部排出し、826基で水位を下げたことによって、ダムの安全性を効果的に確保した」と述べました。
ダムの安全を確保するほか、堰止湖への対策も、重要な課題です。堰止湖とは、地震による山崩れなどで土砂の堆積作用により、谷や川がせき止められてできた湖です。一旦、堆積物が流されれば、湖が決壊して、洪水になります。伝えられるところによりますと、四川省の被災地では、30箇所の堰止湖が生まれ、下流地域の住民が危険になる恐れがあります。
これに対し、鄂竟平水利次官は、「下流地域を脅かしている堰止湖に対し、われわれは、警報観測所を設置し、住民の避難対策を立てた。緊急対応が必要な堰止湖の水を抜く作業は、関連部門に指示し、作業の実施スケジュールも既に決まった」と語りました。
これらの堰止湖の中で、危険が最も大きく、状況が最も深刻なのは、震源地に位置する唐家山堰止湖です。現地の地形が非常に複雑で、洪水が発生する可能性が高っています。現在、唐家山堰止湖で緊急救援作業を急いでいます。
25日正午、唐家山堰止湖から北京に戻ったばかりの中国水利省の劉寧チーフエンジニアは現場の状況について、「地方政府は、下流地域の住民の避難対策を策定した。最も不利な状況を予測した上で、万全の対策を作った。一旦、状況が悪化すれば、この対策を実施する。これらの措置の目的は、2次災害を最低限に抑え、上流と下流地域の住民の安全を確保することだ」と述べました。
最新の情報によりますと、武装警察水利電信部隊の専門家からなる緊急救援隊は16日午前零時35分頃に唐家山堰止湖に到着し、作業を開始したということです。
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