イラン議会290人の議員の内の160人が7日、連名で国連のアナン事務総長宛てに書簡を送り、「アメリカがウラン濃縮の問題で、イランに引き続き圧力をかけることは、イランを『核拡散防止条約』とその追加議定書からの脱退に追い込む」と述べました。一方、アメリカは、たとえロシアと中国の支持がなくとも、イラン核問題に関する決議案を国連安保理に提出するつもりだと表明しました。これらの一連の動きは、イラン核問題におけるアメリカとイランの衝突が日増しに激しくなり、イラン核問題もますます複雑化してくることを示しています。
イラン議会は、「核拡散防止条約」から脱退するというメッセージを出すと同時に、イラン外務省の報道官は、7日、「国連安保理の干渉は、これまでの協力の道を対立に導き、安保理がいかなる措置をとっても、それはイランとIAEA・国際原子力機関の協力にマイナスの影響を与える」と語りました。同じ日、イランのアハマディ・ネジャド大統領は、ドイツのメディアに対して、「イランは、イランの合法的利益を損なう安保理のすべての決議を拒否する」と強調しました。
イギリスとフランは、3日、イラン核問題に関する決議案を安保理に提出しました。この決議案によりますと、イランが、安保理が3月29日に可決した議長声明の履行を拒否したことは国際平和と安全にとっては脅威となりました。イギリスとフランは、この決議案で、更に「国連憲章」の第7章に基づいて、ウラン濃縮に関するすべての活動を中止するよう要求しました。また、イランがこれに従わなければ、安保理が経済制裁やその他の強制的な措置を取るよう催しました。しかし、6日までに、安保理常任理事国の5ヶ国は、この決議案で意見が一致しませんでした。
アメリカのボルトン国連大使は、6日、「アメリカとヨーロッパは安保理内部でイランと無期限に交渉するつもりはない。意見の一致に至らない場合、来週にも決議案を表決するよう要求する」と述べました。別の報道によりますと、アメリカの航空母艦「エンタープライズ」を中心とする戦闘部隊が5月の初め、ペルシャ湾に向けて出発しました。これは、これまでに、アメリカがイランに出した最も深刻な警告だと思われ、国際世論は注目しています。
イランは、アメリカの最終目的がイランに核計画を放棄させるだけでなく、イランの現政権を打倒することにあるとしています。アメリカは国際的なリーダシップを維持するために、核拡散防止を大きなテーマとしていますが、イランが「核拡散防止条約」から脱退するならば、国際拡散防止体制は打撃を受けることになります。また、万一、イラン核問題が混乱に陥った場合、西側諸国の安全が脅かされる可能性もあります。
一方、ロシアと中国は、イラン核問題を解決する最もいい方法は外交ルートだと主張しています。なお、安保理常任理事国とドイツの外相は8日、ニューヨークでイラン核問題について、会議を開き、各国の立場を調整することにしています。国際アナリストは、この会議の結果について、アメリカは満足しないかもしれないとしています。(翻訳:ハルオ)
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