ユーロ対ドルの為替相場は26日、1ユーロ対1.5ドルを超え、27日には1ユーロ対1.5120に達し、これまでの最高値を更新しました。
経済学者は「ユーロ高とドル安は、EUとアメリカのマクロ経済情勢と金利政策にかかわっている。また、一連の経済指標は低下傾向にあり、アメリカ連邦準備制度理事会が一層の利下げを示唆したことも原因である」と見ています。
ユーロ対ドルの為替相場は2006年以来上昇を見せており、特に、これまでの3週間で5%高騰し、1ユーロ対1.5ドルの大台を突破しました。
マクロ経済から見れば、アメリカ経済が低所得者向け住宅ローンの影響で減速し、EUは良好な成長を維持していることが分かっています。
アメリカの低所得者向け住宅ローンは去年夏から破綻したもので、経済に大きな打撃を加えています。
ブッシュ政権は一連の景気刺激策を発表したものの、アメリカ経済の景気減速への懸念が今も残り、ドルの為替相場は低下しつつあります。
一方、ユーロ経済圏は2006年から景気を取り戻し、2年連続2.7%の成長を維持しました。
去年、ユーロ諸国の経済成長率は2001年以来初めてアメリカを上回り、ユーロ為替相場の上昇を支えています。
そしてアメリカの低所得者向け住宅ローンの破綻でEU経済は損失を被り、金融市場の動揺も収拾されていません。
欧州委員会は「今年は経済が減速するが、成長率は2%前後を維持できるだろう」と予測しています。
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は景気後退を抑制するため、去年9月から連続的に利下げを実施しました。
一方、欧州中央銀行(ECB)はインフレ抑制で主要政策金利を4%に維持しています。
また、アメリカはここ数年、ドル高政策を放棄し、輸出の拡大を図っています。
ユーロ高はユーロ圏諸国の輸出にマイナス影響を与えており、一部の国では不満が高まっていますが、この影響はユーロ圏全体では受け入れられる程度にあり、また、ユーロ高は原油高騰の影響を減少させ、インフレの抑制にも有利なのです。
この26日、アメリカでは消費者信頼感指数、卸売価格、住宅価格など一連の経済指標が発表され、投資家のドル売却が目立ち、また、連邦準備制度理事会は一層の利下げを示唆し、ドル安の傾向は著しくなっています。
欧州委員会の経済・通貨問題担当のアルムニア委員は「ユーロ高は金融市場動揺への対応にとっては有利である」としており、また、ドイツ銀行のウェーバー総裁は「長期的なインフレ圧力が拡大すれば、欧州中央銀行は利上げ、或いは、現行の金利を維持する」との考えを示しました。
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